未分類

歯みがきは命にかかわる?愛犬の歯の汚れを考える

オオハシオニコです。
最近市の成人歯科検診で顎関節症が見つかってしまい、あまり歯を食いしばらないよう指導を受けたので、頑張って気づいた時は口を開けるようにしています。なかなか難しいですね。
 
 
さて先日いらしたミニチュアダックスフントのランちゃん、数ヶ月前に腸に腫瘍が見つかり手術を行い無事に摘出。今は元気になってその定期検診に来てくれました。
体重も順調に戻りつつありとても元気な様子ですが、飼い主さんは別のことが気になっているようです。
 
獣医オオハシ
獣医オオハシ
お腹の調子もいいみたいですし良かったですね
飼い主さん
飼い主さん
それはそうなんですが
獣医オオハシ
獣医オオハシ
何か気になっていることはありますか
飼い主さん
飼い主さん
手術の時も相談したんですが、歯が汚れているのが気になります。この前テレビで犬の歯の汚れをそのままにしておくと死んでしまうこともあると言っていましたし、これってどうなんでしょうか?
 
確かに腸の腫瘍を摘出する手術をする前、手術説明をしている時に「一緒に歯石を取ってほしい」という希望を伺った覚えはあります。しかしその時は腫瘍が見つかるまでに時間がかかっていたためランちゃんの状態があまり良くなかったこと、麻酔時間をできるだけ短くしたかったことなどもあり、歯石の除去は行わないと言う判断をお話ししていました。
 
無事に元気になった今。私は正直すっかり忘れていましたが、飼い主さんはずっと気になっていたご様子です。
 
本当に犬が歯みがきしないと死んでしまうようなことがあるのでしょうか。
 
 

歯磨きしないと死んでしまうことはあります

ざっくり言うとあります。
ですが急に死んでしまうということではありません。
 
歯をケアする習慣がない場合、どんなに食事に気を使っていたとしても歯の汚れは必ずついてしまいます。
汚れは汚れをよんでしまうため、長年積み重なると歯の表面だけではなく、歯の根っこの歯根やその周りの歯肉に炎症が広がっていきます。
 
その結果、口の中の嫌気性細菌が口の奥の天然のバリア層を弱めてしまい、また体内を循環することにより様々な病気の原因となってしまう、そういった可能性があります。
 
 

酵素の力

最近流行りの磨かないデンタルケア。
自分自身が勧めることはありませんが、一定の効果はあると思います。
 
しかし犬にうがいをする習慣がない以上、口の中に残り体内に吸収されても大丈夫な、安全性の高いものしか使うことができません。
そのためこういったケアが有効なのは、元々の歯肉炎の状態があまり重度ではないもの、またはまだ綺麗な状態の子がそれをキープするために使う場合に限られます。
 
ガッチガチに歯石がついてしまい歯がぐらぐら、出血もしています・・・そういった子にこれを使うことで歯石がボロボロ落ちて歯もしっかり再生するとしたら、逆にかなり安全性に問題があるのではないかと考えてしまいます。
 
 

物理的除去が基本

磨かないケアがもはや手遅れの、歯石だらけの悪臭を放っているお口の持ち主はどうしたらいいのでしょうか?
 
様々なご意見があるとは思いますが、長い目で見るとやはり全身麻酔下で一度徹底的に歯石を除去、歯根膿炎になってしまっている歯は抜くのが、安全に快適に動物が過ごせると考えられます。
 
  1. 痛くない:寝ている間に終わるので動物に痛みは感じられません
  2. 怖くない:無理に押さえつけられていたり我慢する時がないのでその後の口のチェックに動物が協力的になります
  3. 長持ちする:歯の内側の歯磨きは人でも非常に困難です。犬、特にマズルが長い犬種は大きく口を開けるのが難しく、また短頭種は歯並びが悪いことが多いのでは、歯の隙間までケアすることが困難です。麻酔をかけて顎の力が抜けているからこそ、一番奥まで隙間まで見ることができます
 

無麻酔の危険

詳しくは別の記事を見ていただければいいのですが、基本的に無麻酔による歯石除去は危険を感じずにはいられません。
 
無麻酔歯石取りはいい?わるい?プロが解説いたしますすっかり秋の風を感じるようになりました獣医師のオオハシオニコです。 ここ最近、歯や口臭の話題をずっと続けておりますが、普通の獣医師とし...
 
小動物臨床15年以上やっておりますが、麻酔による事故は想定外のものは実際経験したことはなく、しかし無麻酔の歯石除去による事故は何件か経験しております(当院では行なっていないため他院からの転院に限ります)。
 
 
 
以上のことを踏まえ、数ヶ月前に長時間の麻酔をかけたことを気にされていたランちゃんの飼い主さんですが、よくよくお話をさせていただき、2日後に全身麻酔をかけ歯を徹底的に綺麗にしました。
再発を防ぐため、今は様々なサプリメントや薬を一緒に使うことができます。
また歯の表面をツルツルに研磨することで新たな歯石もつくことを抑えることができます。
 
 
麻酔をかけると言うと「もう目が覚めないんじゃないか」「体への負担が大きいのではないか」と皆さん心配なさいます。
確かにそれは一部その通りかもしれません。
しかし飼い主さんが想像している以上に、歯の汚れは動物の生活に負担を与え、無麻酔による手術は危険を伴います。
 
どうぞ愛犬の快適で健康な一生のために歯の汚れに興味を持ってくださいね。
 
デンタルケアについてはまた別に書こうと思います。
 
 
本日は以上です。