オオハシオニコです。
APNAの食育講座では、基本健康なこを相手にした手作り食のお話になるのですが、獣医師ですし、今は往診専門なので予防関連での診察はほぼなく、結果的に普段行う手作り食のお話は重病であるこ、がほとんどです。
そもそも重病なこであればあるほど、栄養学的介入を考えればフード、しかも治療食を用いるのが圧倒的に有利です。その病気に適した組成はもちろん、普段のフードにはまず入れてもらえないようなものが入っていたり、その形や香りも工夫されているのですから、治療の一環として使うのであれば断然治療食フードです。
しかし、残念ながら治療食はやはり普通のおいしいフードにはまだ及ばないところが多くあります。どんなにいい組成であっても、食べなければゼロ、です。
そこで、迷いに迷った飼い主さんが目を向けるのが手作り食、になるわけですが、病気のこであれば自分は基本完全手作り食ではなく、フードと手作りをミックスしてあげるようレシピをお伝えします。
そうするとよく言われるのが
カップラーメンとサラダ、とかカップスープとサンドウィッチとか、だめですか?くらい最初は衝撃だったのですが、これは意外とよくきかれます。
手作り食=完全に100%ホームメイドのごはん、というイメージがしっかりとあるようです。
話は変わりますが、ペットフード協会という組織があります。日本のペットフード協会はなかなかがんばっていると思うのですが、その活動の一つに「全国犬猫飼育実態調査」というのがあります。毎年継続的に行ってくれているので、そのデータ量はかなりのものです。また柔軟にその時のご時世に対応しようとしていて、最新版の令和元年は対象年齢がいままでの20~69歳、から20~79歳までに拡大しました。確かに、実際70代の方も多くペットをかっていらっしゃいますからね。
その調査結果のひとつがこちらです。
「ペットフード協会HPより」
愛犬にどんなごはんをあげていますか?という質問に対する回答です。
やはりぶっちぎりは市販のドライタイプのフードです。しかし興味深いことに、1077人中約10%の人はドライタイプのフードは全く与えていないようです。
そして真ん中あたり、手作りの犬用食餌ですが、まったく与えていない人は81%、逆に言えば20%の人は手作り食を実践しているようですよ。意外と多い!
しかしよくよくみると、手作り食90%以上、70%くらいを足しても…2~3%でしょうか。つまり、自分のお話した飼い主さんがイメージしている100%手作り食実践派はほとんどおらず、むしろペットフード協会的には20%未満でも何らかの手作りが入っていれば、手作り食扱いにしているのですね。
手作りしている人の周りには手作りする人が集まるので、実態はなかなかつかみにくいですが、それでも手作り食は100%ホームメイドは世の中的にも求められてはいないようです。
だから、いいんですよ。フードと手作りの併用(やっと結論)。
ただし、比率はだいぶ違います。講座で指示された肉やら魚やらの代わりにフードはなりません。またフードも内容を確かめる必要があります。なんでもOKとはいきません。
今のフードと手作り食を併用したい!とご希望の方は必ず専門家に確認してください。
そんなときはご相談にのりますので、大丈夫です。愛犬との楽しい食事の時間、大切にしたいですね。