オオハシオニコです、暑さには強いので真夏日でも毎日けっこう元気にやってます。
この季節になるとお問い合わせが多くなる経口補水液の話題。以前いただいた質問は
でした。
残念ながらどんな病気なのかもわからないので即答できなかったのですが、基本的には水分・塩分を摂る量に制限が指示されている心臓や腎臓の病気のこは、せっかくの日ごろの努力(ミネラル控えめフードや利尿剤など)を無駄にしないためにも必ず獣医師に確認してください。
ではそれ以外のこはいいの?と言われると、はい大丈夫です。
でも、もちろん気をつけてほしいことはありますし、巷にある情報はやや訂正したほうがいいかな?っていうのもあったりするので、この際犬や猫などのペットの経口補水液についてまとめたんでした。今年はそれに少々加筆しました。
(ウサギやモルモットなどの草食動物はまた違いますので、ご注意くださいね)。
結論こういうの↓↓が安心安全です。
がどんな時に必要か?
ないときはどうしたらいいのか?
をまとめました。
犬や猫に経口補水液が必要な時
熱中症
いわずとしれた熱中症、気温や湿度の上昇により体温の調整ができなくなることで体を構成している細胞がダメージを受け、ありとあらゆる障害が起きる病気です。
- 心臓や血管:低血圧、ショック、不整脈、血栓症
- 呼吸器:過呼吸、低酸素、肺水腫
- 泌尿器:急性腎不全(からの腎臓病)
- 脳や神経:脳浮腫、脳出血、意識障害、発作、昏睡
- 消化器系:嘔吐、下痢、消化管出血
こわすぎますね・・・
よく知られている、ハアハア苦しそうにしている、よだれを流して暑そうにしているといった様子以外にも、
- フラフラめまいのようなものがありそう
- ぼーっと意識が低下してそう
- どこかからだの一部の筋肉が動かせず突っ張ったりけいれんしている
- 気持ちが悪そう
なども症状としてあげられます。
この場合はとりあえず自力で飲めそうなら、経口補水液を飲みたいだけ、ただし少しずつお皿に入れてあげたりスプーンであげてください。
一気に飲むとおかしくなった胃の反射で吐くかもしれませんので、あくまで少しずつ~。体温が上がっているので、常温よりやや冷たい方が体を中から冷やしてくれる効果が期待できます(キンッキンな必要はなし)。
一通り飲んで落ち着いたら、またゆっくりとちびちびあげましょう。
これは、最初に一気に飲んだ分を体が吸収して尿に回してしまうからです。追加補充が必要です。
下痢や嘔吐
季節や暑さに関係なく起きるひどい下痢や吐き気、人間でもノロやらロタやらウイルス性胃腸炎になるとつらいですよね。
程度にもよりますが、この状態でも少なからず脱水していることがほとんどです。
熱中症と異なり体温は上がっていないかもしれないので、冷たい経口補水液をあげる必要はありません。常温くらいであげると胃腸に優しく飲みやすいです。こちらは熱中症以上に慎重に、すこ~しずつスプーンやペットボトルの蓋とかで15~30分起きにあげてください。吐いている場合は、1時間は液体もやめましょう。
高齢のシニアペット
基本的に経口補水液は予防的に飲むものではありません。普段から水分やごはんをしっかり食べられていれば、特に外から補給しなければいけないことはなく、むしろ塩分過剰になってしまうことがあるからです。
しかし、食欲が落ちている、水をあまり飲まない、などの状態が続いている場合は経口補水液を与えることで衰弱するのを抑えることが可能です。できれば動物病院に行くのがベストですが、それまでのつなぎとして与えてみるのも手ですね。
ちなみに人のほうで、「脱水していない高齢者」に経口補水液を一定期間飲んでもらうとどうなったか、の論文が出ています。
結論としては、脱水していない高齢者に30日間経口補水液を飲んでもらうと体液量が増えて(うるうるぷるぷるになった)、その安全性も確認された、けど経口補水液を飲まなかった人たちもただの水でも脱水しなかった、つまり経口補水液だから脱水予防できたということにはなりませんでした、です。
こまめにとるのはただの水でいいんですね。
犬や猫の経口補水液の作り方
ペットの経口補水液売ってます!、もちろんこれがベストです。経口補水液は、体に必要な要素を負担を最小限にして効率よく吸収させることを研究して開発されているからです。
でもこれがいつもお家にないこともあると思います。さすがに夜中にコンビニにいっても、ペットの経口補水液はないでしょう。
そういったときは
- 人間用の経口補水液を飲ませる
- 人間用のスポ―ツドリンクを飲ませる
- 自分で作る
かになります。今回その③の説明をします(①②については後述します)。
プロ提案:かんたんペットの経口補水液の作り方
- 水:ミネラルウォーター(超硬水は避ける)または水道水 500ml
- 砂糖:大さじ3(約20g)
- 塩:小さじ1/6(約1g)
すべてよく混ぜます
おしまい
水はレンチンとかで、ぎりぎり指つけられるくらいの50℃くらいにすると溶けやすいです。黒砂糖があれば、カリウムやらマグネシウムやらも含むのでなおよしです。ブドウ糖は吸収が早くておすすめ!といろいろ言われてますが、そんなに常備されているものなんですかね?我が家にはありません。
小さじ1/6は小さじに塩をすりきりいっぱいいれて、皿とかにひっくり返し、包丁でまずは半分、そして残りを3等分すると測れます。多少の誤差はオッケーです。
小さじすりきり一杯 | えいっと出して | さっくり半分 |
さらに3等分 | はい、できあがり | 粗塩とかだと、ナトリウム以外のミネラルも入ってるので、より効果的かも |
このレシピは某大手フードメーカーの、溶かして使うタイプの水分やミネラル補給が必要な犬猫のための経口電解質飲料の成分から計算したものです。カロリー的にはもう少し砂糖を増やしたいところですが、おそらくそうすると下痢になります。
もともと溶けている飲料・ゼリータイプのものとは浸透圧の状態などを比較することはできませんし、そもそも砂糖と塩のみです。あくまでどーしても他にない、水よりはまし、くらいに思ってください。
- 2~4kgで175~300ml
- 5~10kgで350~600ml
が一日の目安量のようですが…そんなに飲むようなことはないはずです、できるだけ早く動物病院にいきましょう。
ヒト製品に注意すること
ヒト用の経口補水液は脱水症を治療するために開発された「飲む点滴」であり、普通の飲料よりも飲んでから体に吸収されるスピードが早く、維持もされやすいように考えられています。
その一方で、いわゆるスポーツドリンクは、エネルギーやアミノ酸まで補給することも考えられています。そのため糖分はじめ栄養分が多く入っていますから、胃の中に長くとどまるぶん吸収に時間がかかります。
体に吸収される目安の時間は、経口補水液が5〜10分。スポーツドリンクは20〜30分です。また、犬や猫の必要な塩分は人の飲料をそのままのむとやや過剰です。また糖分も濃すぎると浸透圧変化で下痢になりますので、薄める必要があります。
結論として、脱水や衰弱の心配があるペットのためには
- ペット用の経口補水液
- 人用の経口補水液を半分に薄める
- 人用のスポーツドリンクを3~10倍に薄める(ものによります)
- 手作りする
の順番でお考え下さい。
まずは1本から試してみたい慎重派の方はこちら↓
たぶん大丈夫でしょう、の方やいざという時用に準備しておきたい方はこちら↓
常用している方はこちら↓
ペットに熱中症の症状が出て、目の前にいろいろあればもちろんペットの経口補水液ですが、水分をとることが一番大事なので、水でもスポーツドリンクでもお茶でも素早く、少しずつとらせましょう。そして動物病院にご連絡を・・・。
本日は以上です。