おやつ

食べない腎不全の犬のおやつは何がいい?ささみはだめ?にプロが解説

獣医もろもろ(諸々が気になる方はプロフィールをごらんください)のオオハシオニコです。

 

先日の「腎不全の犬のおやつにビスコがいいときいたのですが?」に引き続き、またまた犬の慢性腎不全 CKD の話題です。

 

飼い主さん
飼い主さん
なーんだ、うちのこ違うし関係ないわー

の方も、お時間あるならばチェックをおすすめします。

というのも、慢性腎不全はペットの「お年寄り病」的な面があり、最近の長生きしているペットちゃんたちは腎臓を患う可能性が高いからです。

また、この話の対象は「慢性腎不全たけどまだ痙攣や吐き気など末期的症状のない犬」になります。

  • 急性腎不全の回復期→集中して治療することがおすすめ
  • 吐き気→どんなにおいしいものでも吐いてるときには無理
  • 痙攣→もはや絶食してでの治療が推奨されます

お間違いのありませんよう、ご確認ください。

 

さて先日初めて来院されたチワワのミルクちゃんの飼い主さん。

半年ほど前からミルクちゃんは慢性腎不全の診断をうけ、腎臓病対応の食事、つまり療法食のごはんを食べさせ、サプリメントやお薬をがんばってこられたそうです。
悪くはなってないけれどよくもならない、あまりはっきりと改善がみられない・・・ことにもやもやされたのか、セカンドオピニオン的に診察にいらっしゃいました。

せっかく来ていただいたので、エコーやレントゲン、血液検査と一通り行いました。

また問診で、痙攣や止まらない吐き気などの末期的症状はまだ一度も起こしていないことを確認しました。

その結果、腫瘍や結石、感染による腎機能低下は見られず、急性腎不全ではなく慢性腎臓病で間違いはないことをお伝えしました(つまり他の病院さんと診断は変わらず)。

すると意外と気落ちした風でもなくあっさりと

飼い主さん
飼い主さん
慢性腎不全、やっぱりそうなんですね

とうなずかれました。

獣医オオハシ
獣医オオハシ
?(あんまりがっかりしているようには見えないけれど、表情が顔に出にくい人もいるしな

かかりつけさんに戻ってもらおうとしたところ、急にはっきりした口調で質問されました。

飼い主さん
飼い主さん
慢性腎不全になってから食事を食べないことがありますが、おやつは食べます。おやつは何をどのくらい食べさせたらいいのでしょうか?

獣医オオハシ
獣医オオハシ
(・・・これが1番ききたかったのかな)

食事を食べない慢性腎不全の犬におやつはいいの?

腎不全の犬のおやつに豆

腎臓の機能に全く影響のないおやつはありません(影響与えにくい、のはあります)。
そして、こういった質問される方はたいてい治療のひとつとして、慢性腎不全用食事、療方食を与えていると思います。
せっかく高いお金を出して買っている腎不全用処方食フードを最大限に生かすためには、それと水だけ!がいちばんです。

ただ、犬猫の慢性腎不全は治らない病気であり、食事を食べない、だるいなどの症状をコントロールして長くお付き合いしていく病気です
そのため、腎不全と言う病気でありながらも毎日をどう楽しく過ごしていくかが、とても重要となります。

スマホや読書ができない犬にとって、おやつは体調がいまいちでお散歩に行く元気が出ないときの気分を変える、テンションをあげるきっかけとなることがあります。

また、何かのたびにごほうびとしておやつをもらっているような毎日をおくっていれば、いきなりおやつなしはびっくり!ごほうびをもらえないことに大きな不満やストレスを感じるでしょう。

とはいえ、いつだって好きなようにすきなものをあげたい!、では慢性腎不全の治療は難しいでしょう(ヒトの慢性腎不全の原因のひとつが生活習慣病であることはそのためです)。

何をあきらめてもらうか・・・おやつは午後の散歩の時だけあげる、半分に減らしてあげる、処方食をおやつ代わりにあげる・・・などは最終的には飼い主さんが決めなくてはなりません。

おやつをあげるかあげないか、その量や内容はどうするか、そういった治療の方向性をきいてはじめて、ごはんだったらこれを1日このくらい、おやつだったらこのくらいの量をあげてみてくださいと獣医師から言えるのです(またそれは腎不全の症状の進行によってこまめに変える必要があります)。

結局、そういった飼い主さんの意向を無視して獣医師が腎不全の食餌療法を指示してもまず続かないですね。

 

慢性腎不全の犬だけど、ささみやヨーグルトが大好きです

腎不全の犬のおやつにささみ

 

最近よくいわれるのが

飼い主さん
飼い主さん
食事を食べないんだけど、ささみなら食べるんです。でも腎不全だからあげちゃだめなんですよね?

とか

飼い主さん
飼い主さん
腎不全になったから、ヨーグルトはやめないとだめですよね?

といった、特定の食品に関する質問です。

だいたいのわんちゃんが喜ぶささみやヨーグルト、でも慢性腎不全になったら避けなくてはいけない…とどこかで言われるようです。

なぜ、そして絶対にだめなんでしょうか?

ささみやヨーグルトが慢性腎不全の犬にだめといわれる理由

犬が腎不全のときに制限するべき栄養素はまずはタンパク質、ナトリウム、リン、の3つです。
逆に言うとこれに気をつけてあげれば、おやつや食事として与えても良いと言えます(他にもカリウムやらアミノ酸やらいろいろありますがとりあえずはこれです)。

一つ一つ解説していくと他の話になってきてしまうので、簡単に説明します。

  • 「タンパク質」は、体内で消化吸収されるときに、尿素を発生させます。腎臓が健康な場合、腎臓がこれを排出しますが、腎不全の場合その機能が落ちてしまっているため、タンパク質の制限や選択が必要になります。
  • 「ナトリウム」はつまりが塩分であるため、高血圧の原因となり腎不全の犬ではやはり制限したいものです。
  • 「リン」は骨や歯、細胞を作り出すための犬にとって、とても大切な栄養素ですが、腎不全になった犬にとっては、病気を悪化させる原因になります。リンはさまざまな食品に含まれているため、普通に生活していれば足りなくなってしまうことはまずなく、とりすぎが問題になってしまいます。

リンは、 魚類、乳製品、大豆、肉類、そして加工食品に多く含まれます。

犬が大好きなものでは、煮干し、チーズ、ハム、レバーなどです。

腎不全の犬のおやつにヨーグルト

詳しく知りたい方はこちらの「リンの多い食品一覧」をどうぞ

ささみやヨーグルトは、このリン含有量が比較的多いため「あげてはダメ!」と言われるようですね。

本当にささみやヨーグルトを慢性腎不全の犬にあげたらダメなの?

ささみやヨーグルトは毒ではありません、一口食べたら死んじゃう毒リンゴとは違います。しかし、量を気にせず食べ続けることは確実に腎臓の機能をより弱らせてしまいます。

ささみの代わりなら胸肉を使いましょう、とかヨーグルトの代わりに豆乳ヨーグルトを使いましょうとかいう考えもあるようです。

しかしリン含有量で見てみると、ササミと胸肉はリンの量に大差はありません。

牛乳と豆乳は約2倍の含有量の差がありますが、私個人的には豆乳ヨーグルトは普通のヨーグルトとは違うな、と思います(豆乳ヨーグルトが好きではないペットがいるのは納得です)。

結局は何をあげるにしても量や濃度の問題になってきます

とくにおやつであれば、それはカロリーや栄養を補うという体の栄養よりも、それを楽しみにする心の栄養であるわけなので、好きではないものをたくさん用意してあげても、残念ながらペットちゃんのテンションはあまりあがらないかもしれません。

結局、慢性腎不全の犬のおやつは何をあげたらいいの?

 

極端な話、慢性腎不全のペットの残りの時間(ペット生?)をどう過ごさせてあげたいのか、治ることのない病気とどうつきあっていくか、は一人一人の飼い主さんによって異なってきます。

理想は、腎不全の処方食をメインに、好きなもののなかからなるべく低タンパク質、低ナトリウム、低リンのものをおやつにしてあげることです。

 

飼い主さん
飼い主さん
でも、それでもちょっとでも腎不全に大丈夫なのを教えてほしい―

獣医オオハシ
獣医オオハシ
・・・食材として低タンパク質、低ナトリウム、低リンでアミノ酸のバランスが取れていて、犬が好きなおやつにしやすいものといえば

卵、ゆで野菜(ブロッコリー、さつまいも、キャベツなど)、りんご、みかん

あたりでしょうか。

白身魚やゴマ油、ジャムなんかはごはんにトッピングしたり投薬のときにつかうこともできますね。

 

 

そこはもっと!知りたいの!!と言う方は、どれでもいいので(例えば↑など)ペットの手作り本を一冊読んでみると少し冷静になれるかなと思います。

ネットの分断された情報を検索しまくるより、信頼できる本を一冊読み込むほうがすっきりしますよ。

まとめ

腎不全の犬のおやつのまとめ

食事を食べない、慢性腎不全の犬のおやつの、中身や量を気にかけることはもちろん大事です。しかしどう愛犬の腎不全と向き合っていくか、食事を食べないけどおやつは食べる時期、だんだんと吐き気が治まらず痙攣が見られるようなった時期、そんな時どうするのか治療の方向性をご家族で話してあっていただくことはとっても大切です。

 

お母さんは一生懸命腎臓にいいものを厳選しているのに、お父さんはおつまみの干物あげてます・・・とかでは、毎日ケンカになりかねません!

でも、愛犬を想う気持ちは変わりはないはずなので、ぜひよくよくよ~く話し合ってみてくださいね。

 

他に腎臓、おやつ、ごはん関係を

https://ohashioniko.com/kidney-milk https://ohashioniko.com/sodium-polyphosphate-food

また違った視点から考えています。

 

獣医オオハシ
獣医オオハシ
病気は悲しいことだけど、ペットが楽しく暮らせるように一度は考えてみましょう

 

本日は以上です。

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