秋の涼しさを楽しんでいます獣医師諸々のオオハシオニコです(諸々が気になる方はプロフィールをごらんください)。
さて先日、「毎日青汁を飲んでいる!」という飼い主さんと、お話ししました。
お仕事で忙しく国内外を飛び回っている方なのでふと気になって
初めて聞く青汁の飲み方でしたが、犬や猫の薬の飲ませ方も実はいろいろです。
青汁も今はいろいろあるみたいです、そのうち必要かな・・・。
犬猫に薬を飲ませる方法はどれがおすすめなのか、その理由や、最近好評のたくさんの種類の薬をかんたんに溶かすことのできる方法をご紹介します。
一番おすすめの犬猫の薬の飲ませ方は、錠剤のまま!
ごはんやおやつに混ぜてもいいですし、投薬補助の便利アイテムを使ってももちろん大丈夫ですので、薬は錠剤のまま与えるのが一番です。
便利アイテムはいろいろあります。
ヒトで人気のこちら。
チョコ味はいまいち何が入っているのかわからないためできれば避けていただいて、他のものは甘いのが好きなわんちゃんには使いやすいようです。
小皿にゼリー状のこちらを少量出してそこに薬を埋め込むとぺろっとなめてくれます。
こちらは犬用。
チーズ味がかなり濃厚、これで助かる飼い主さんも多いです。
さて、投薬方法として錠剤がイチオシの理由としては、量や薬の状態が正確だからです。
犬や猫はどうしても体格が小さいため薬の総量もかなり少なめです。
しかし動物薬として販売されているものは一部のものに限られているため、ほとんどはヒト用のものを用量を計算して使っています。
そのため、割ったり日にちを計算して間隔をあけたりしてあたえることがよくあります。
しかし、もともとそういった薬はそういう使い方を想定していないので、日にちが立つと変質が進んだり、薬によっては効果が変わってきてしまうものもあります。
てんかんを抑える薬や、徐放剤はとくに形を変えることにより、大きな影響を与えてしまうことがありますので、かなり気を使います。
粉やシロップなどの状態を変えてしまえば、それはより大きくなります。
その薬の効果を最大限にひきだし、副作用を最小限にするためにも、なるべく薬はそのままの状態で飲んでもらいたいものです。
二番めにおすすめの犬猫の薬の飲ませ方は、粉末!!
錠剤がいい!とはいっても、あまりに少量になりすぎる場合は(たとえば一回量が錠剤32分割とか)は、整腸剤なんかを足して調剤機が分けられる限界まで重量を足して粉状にしたものを分割させます。
問題になってくるのは湿気、特に吸湿しやすい性質の胃薬や降圧剤なんかは長期間分処方すると固まって与えづらくなってきてしまうので、工夫が必要になります。
よく薬を長持ちさせるために冷蔵庫に入れられる方もいらっしゃいますが、開けたり閉めたりする温度差で意外と結露が生じてしまい、湿気の原因になることがあります。
おすすめは、ジップロックやタッパー、缶などに乾燥剤と一緒にいれて直射日光をさけておいておくことです。
最後の手段!の犬猫の薬の飲ませ方は液体シロップ
どーーーーーしても錠剤も粉も無理!何に混ぜてもばれてしまって飲ませられない!という動物には液体シロップを処方します。
スポイトやシリンジで上手に飲ませるコツをつかんでしまえばたしかに一番楽な方法です。
が、いくつか注意点があります。
液体シロップ薬をペットに与える際の注意点~よく混ぜる
もともとシロップだったものならともかく、錠剤を粉砕して混ぜたものであれば沈殿がかならず生じてきます。
シャカシャカふるのではなく、ゆっくり回すようにして混ぜ込む気持ちで毎回準備しましょう。
液体シロップ薬をペットに与える際の注意点~一気に与えない
嫌なことを一瞬で終わらせよう!という優しい気持ちで、ペットの口の中に一瞬でびゅっ!と入れてしまう飼い主さんもいらっしゃいますが、できれば口の奥に少しずつゆっくり入れてあげてください。
落ち着いてあげることで、口の中を傷つけてしまったり、むせさせてしまうという二次災害も防げますし、ペットも必ず慣れてくれます。
液体シロップ薬をペットに与える際の注意点~ほめる!
ペットのためにやっているとはいえ、そんなことは思ってくれないペットたち。
毎日の苦行ととらえて、準備を始めると逃げてしまう・・・というお悩みもよくききます。
それはそうですよね、ペットにしてみればできれば避けて通りたいはずです。
ですので、かならずご褒美とセットにしてあげてください。
おやつやお野菜、ごはん少々なと大好きなものをかならずあげる(ふだんはあげないようにしてくと効果倍増です)、周りからみるとちょっとひいてしまうくらいほめちぎる、などなど「薬をがんばればいいことある!」とペットが思ってくれるようにがんばりましょう。
自宅でシロップに簡単確実にする方法
最近重症のペット、食欲が落ちていて複数の薬が必要になってしまう内科治療中心のペットのためにお話しているのが「簡易懸濁法」です。
もともとは人の薬剤師さんのグループが、安全に簡単にヒトのチューブ栄養管理を行っているような患者さんのために行う投薬方法のひとつとして考案されたものです。
わかりやすいのはこちらの簡易懸濁法のやり方です。
くわしくはこちらのやさしい投薬をめざしてがおすすめです。
昭和大学薬学部のDr.倉田の研究です。
ざっくりいうと、ぬるま湯に薬をまとめて入れて5分くらいおくと崩壊してくるのでやさしく混和してシロップ状にするという、砕いたりつぶしたりする必要なく錠剤をシロップにする方法です。
使いやすい投薬ビンは、動物病院で相談すると分けてくれるとおもいますよ。
動物病院は飼い主さんがなにも言わなければ「どうにかして飲ませてくれているんだな」と思ってしまいがちです。
もし実はなかなか飲ませられてない、とかどうしてもこれだけは出しちゃう、などお困りのときは必ず獣医師や看護士に伝えてくださいね。
本日は以上です。