仕事終わりの風の冷たさに秋をすっ飛ばし冬が近づいてきていることを感じるオオハシオニコです。
お歳暮でもなくお中元の時期でもないのですが、この時期よく頂くのが秋の味覚果物です。
なし、ぶどう、りんご、そしてみかん。
ビタミン C は風邪の予防になるとみんなで信じているので、当院のスタッフにみかんの差し入れはとてもとても喜ばれます。
ドカン!と5 kg、 10 kg と箱で送っていただいても、だいたい一週間ともちません。
もちろん私もみかんは大好きです。
そして私の愛犬もみかんが大好きです。
お腹が弱く、以前に低蛋白血症もやっているので少しでも消化が良い方がいいかなと思い、母がみかんの白い薄皮を取ってあげたところどうやら物足りなかったようでみかんの皮をむいたそのまま房ごとほしがるおばあちゃん犬です。
そう意外とワンちゃんは柑橘類が好きだなぁという実感があります。
先日認知症の話をしましたが、本日もその第2弾です。
この前はカレーの話でしたが、今日はみかんの相談を受けました。
この子みかんが大好きなんですがみかんはボケ予防にもなると聞きました、本当ですか?
みかんはそのままあげたほうがいいんですか、それでも茹でたり煮たりした方がいいんでしょうか?
個人的にみかんが好きな理由の一つとして、皮が手でむけそのまま食べられるという手軽さがかなり上位にあるため、みかんをわざわざ茹でたり煮るというのは私の中ではあまりないのです。
が可愛いワンちゃんのためにその飼い主さんは行ってあげる気満々です。
実際のところどうなのか、調べてみました。
確かに柑橘類には認知症予防効果がある
柑橘系みかんなどに含まれるフラボノイドの一種「ノビレチン」には、抗認知症作用について検討したところ
- 記憶障害改善作用
- 脳コリン作動性神経変性抑制効果
- アルツハイマー病の原因物質とされるAβの沈着抑制作用
- 神経成長因子(NGF)様効果
が発見されています。
つまり、忘れることを改善し、神経が衰えることを防ぎ、脳にたまるゴミを溜まりにくくし、神経ネットワークを新たに作る手助けをしてくれるようなのです。
他にも血糖値の上昇を抑える、がん抑制作用、慢性リウマチの予防や治療にも効果があることもわかっているそうで、なんだかすごいこといなっています。
ノビレチンがたくさん含まれる柑橘類はシークワーサー
ノビレチンは柑橘系の植物に多く含まれる成分のようですが、飛び抜けてその量が多いのがシークワーサーです。
ふつうのみかん(温州みかん)ではノビレチン含有量が100gあたり24mg
カボスでは89mg
ポンカンでも127mg
シークワーサーには、267mgとみかんの10倍です!
注意点としては、身よりも皮や繊維に多く含まれるようです。
ノビレチンはマウスでエビデンスが得られている
東北大学の研究チームが、マウスにノビレチンを与えて記憶体験を実験し、「培養神経細胞および6種類の学習記憶障害モデル動物でのノビレチンの効果を検証の結果有効であるとのエビデンス(科学的証拠)を得ることができた。」と発表しています。
みかんは通常サイズがだいたい1個100gくらいです。
その1~2割が皮だとすると、2個食べればノビレチンは40㎎くらいとれるものでしょうか。
実験ではマウスに1kgあたりノビレチン50㎎を4か月与えて改善効果があったとしているので…小型犬では一日10個以上はみかんを食べると認知症予防改善効果がありそうですね。
シークワーサーであればその1/10で済むのですが、なかなかそんなに毎日シークワーサーを連続して食べるのは困難ですね。
恐らく、みかんやシークワーサーを食材として認知症予防効果認められているレベルまで日々取り入れることは難しいでしょう。
だからといって無意味なわけではありませんし、まだわかっていない薬効が隠されている可能性もあります。
認知症予防効果までは期待できないにしろ、みかんが大好きなこであれば、お腹を壊さない程度に薄皮ごとあげてみてもいいんじゃないですか、と後日お伝えしたところ、少しがっかりしつつも好きなものをあげていいとわかってよかったです、とおっしゃっていました。
基本食材の濃度は薄いので、すぐにエビデンスレベルまで取り入れることは困難なことがほとんどです。
効果にばかり目を向けず、食事を楽しいものとしてペットと楽しめるといいですね。
本日は以上です。