いつのまにか11月になったことに驚いてしまう、獣医師諸々のオオハシオニコです(諸々が気になる方はプロフィールをごらんください)。
さて秋も深まり、気温も下がり始めダニやらノミやらの寄生虫もそろそろ落ち着いてくるかなーと思っていた矢先、こんな電話をいただきました。
心配なのでこれから皮膚科にいくのですが、飼っている犬や猫もそちらに連れて行ったほうがいいでしょうか?
つまり、お子さんが幼稚園でシラミがうつっているかもしれないから病院に行く → ペットにもいるかもしれないから動物病院に行く???というお問い合わせでした。
「シラミ」ってなんとなく害虫!というイメージはあっても、ノミやダニと違ってよくわからない、という方は多いですよね。
どうしたらいいでしょうか?
ヒトのシラミが犬や猫にうつることはありません
結論から先に言いますと「お子さんについてしまったシラミが、わんちゃんや猫ちゃんにうつることはありません」です。
なぜか?というと、乳酸菌ではありませんが、人には人の、犬には犬のシラミがいるからです。つまり、種類が違うからうつることができないのです。
ヒトのシラミと犬猫のシラミは違います
人につくシラミは、アタマジラミとコロモジラミをまとめたヒトジラミ、とケジラミ、の2種類です。
それに対し、犬につくのはイヌジラミとイヌハジラミです。
イヌジラミは犬の血を吸う(吸血する)タイプで、イヌハジラミは皮膚の表面を食べます。
ちなみに猫にも、猫特有のシラミがいます。
繁殖する環境を選ぶ、その限られた種でしか感染できないシラミの性質は、ダニやノミとは異なりますね。
ヒトのシラミの治し方
人の頭や体毛で繁殖してしまったシラミは、薬用シャンプーによる化学的除去と専用のくしでといたり最近ではヘアアイロンで焼いてしまう物理的除去、があります。
こういううシャンプーで定期的に洗ったり
こういう櫛でとかしたりするのです。
犬や猫のシラミの治し方
ヒトとの大きな違いは「全身が毛でおおわれていること」です。
つまりあまり薬剤を使いたくない眼や口など敏感な粘膜の周りにもびっしりと毛が生えているのです。また、もともとの毛も人毛に比べて細いため、くしですくことも徹底することが困難です。
というわけで、できる限り飼い主さんに了解を得て、全身丸刈りにすることが実は一番早く、確実にシラミを根絶する方法です。
なるべく毛を少なくしたところで、スポットタイプの駆除剤(フロントライン+とか)をしっかり確実につけます。
24時間たったら、こまかいクシでしばらく毎日全身をブラッシングして、家にこびりついた卵やその殻をとりのぞきます。
ペットのいるお家でヒトのシラミが発生したら?
ヒト→ヒトの感染なので、まずはその一番怪しい人はもちろなのですが、その人と一緒に寝ていたり遊んでいたりする時間が長い人も要注意です。
かゆみがなくても、頭皮をチェックし、白いつぶつぶがついていないか必ず確認しましょう(パパママ、兄弟全員ですよ!)。
不安な場合は皮膚科への受診をおすすめします。
そしてそのあとで、気になるようであればペットを連れてきていただければ動物病院でもちろん細かくチェックしてくれるはずです。
ヒトの感染とは無関係ですが、万が一犬や猫のシラミがついてしまっていたときは駆除の方法を相談することになります。
ペットから、またはペットにうつるものではないとわかってもやっぱりいやなものですよね、シラミ。
ペットは子供と一緒で自分でシラミをどうすることもできません。
ぜひ毎日のチェックとして、ブラッシングは行ってあげてくださいね。
本日は以上です。