手作り食

ペットの口臭予防に手作り食がおすすめの理由:プロが解説

手作りしたい飼い主さんを全力で応援している、普通の獣医師オオハシオニコです。

 

先日に引き続き、犬や猫ペットちゃんの歯の問題についてお話しします。

昨日は「手作り食は歯によくない」と言われていることについて、本当にそうでしょうか?という話でした。
本日は歯の汚れはもちろん口臭についても、手作り食を検証してみます。

 

結論から言いますと

獣医オオハシ
獣医オオハシ
口臭対策には手作りご飯はなかなかにお勧めです

その理由を以下の通りにまとめましたので、気になる方は読んでみてください。

犬や猫などの口臭の原因は大きく分けて4つ

口の中が乾燥している

自分からなかなか水飲まない、クッキーやジャーキーなどのおやつばかり食べている、そんなペットちゃんに多いのが、体に水分が足りていないので口が乾きやすい、または口だけでなく全体に脱水の状態にあるため、唾液がどろっと濃くなりがちなことです。
唾液が濃くなってしまうとその中の唾液成分が濃縮されるので、どうしても匂いがきつくなります。
例えていうなら、寝起きた時の口の中の粘り気が強いように、ペットの口の中はねばねば、べたべたでこれが口臭の原因になっている場合もあります。

口の中に炎症がある

例えば口内炎、例えば歯周病、例えば虫歯そして腫瘤(できもの)など・・・口の中にいつもと違う何かができていて、そこから炎症が起きている場合、そこは感染源となり臭いの温床となっていることがあります。
人でも歯の内側や裏側は磨きにくいものですが、ペットちゃんの歯磨きを完璧にするのはなかなか難しいものです。そもそもペットちゃん自身に歯を磨かなければいけないという意識はないため、おやつやご褒美で上手に歯みがきを好きになってもらい、短時間でいいので毎日の習慣として取り入れ、何日かに分けて口の中全体を磨くようにすることがお勧めです。
ちょこちょこ磨き続けることで、いつもとは違う変化に気づきやすく、炎症も早めに手を打つことができます。

体の中の臓器の不調がある

例えば肝臓の機能が落ちている、例えば腎臓が弱っているなど体の中で代謝が滞ってしまうような内臓疾患があった場合、それは息の臭いになって現れることがあります。
具体的には生臭い感じの匂いやまたはアンモニアのような匂い、甘ったるい匂いなどさまざまですがどれも普通の匂いではありません。
こういう状態になってしまうと食べ物の消化・吸収機能が落ちるため、消化管つまり胃や腸の機能が落ち、吐きやすくなったり便も柔らかかったり、かなりの回数に増えたりといった変化があらわれることがあります。

食べているフードの劣化や変質がある

最近はデリケートなワンちゃんも多いですが、特にワンちゃんは雑食で基本的には味などあまり気にせずガツガツ食べてしまう子がいるような動物です。
いつも食べているご飯が多少酸化や劣化によって美味しくなくなっていたとしても、あまり気にすることはなく丸呑みしているかもしれません。しかしそういったごはんが歯や歯茎について口の中に残っていると、普通の状態のご飯よりかなりきつい臭いを発している可能性があります。

手作りごはんが口臭の原因に有効な理由

水気が多い

いろいろなレシピがありますが、たとえチャーハンであっても、そこに投入されるごはんは水分かなり多めです。口の中はもちろん、体全体の脱水を防ぐことで口腔内疾患や内臓疾患を予防することができるかもしれません。

毎回内容が異なる(内容に偏りが少ない)

ササミばっかり、きゃべつばっかりということなく、異なる食材で調理していれば自然と偏らなくなります。長い目で見ると、栄養バランスの偏りは最小限に防ぐことができます。

その時の状態によって内容を変えることができる

下痢をしているときは炭水化物を多くして消化しやすい状態にする、逆に便秘の時は可溶性の繊維質を入れて便通をよくするような工夫をすることができます。

いつも新鮮なごはんを与えられる

ペットフードは開けて1カ月平気であげてしまうものですが、手作りごはんではそんなに置いておくことはできませんよね。

早く異常に気付くことが歯の健康につながる

水しか飲んできなくても、口の中に傷ができていたり、歯に歯石が取りきれず残っていれば、それがそのうち口臭の原因となります。どんなにすばらしい口臭予防サプリメントがあっても、物理的な問題にはかないません。
どれだけペットちゃんの口の中の変化に気づいてあげられるかが、最終的にはお口の健康をまもってあげることにつながります。

手作りごはんに興味のあるような飼い主さんであれば、歯の健康にも関心は高いことがほとんどです(少なくとも私が診ている方たちは)。

歯みがきが完璧にできなくても大丈夫、まずは口の中をちゃんとみせてくれるよう、ペットちゃんとの信頼関係を築いてくださいね。

 

本日は以上です。

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