あけましておめでとうございます、獣医もろもろのオオハシオニコです。
今年はもうちょっと本腰をいれてブログを更新いたします。
さて、お正月ですね。
獣医師になってから、人並みな冬休みを過ごしたことは、はっきり言ってありません。
一番自分的にえらかったときは、12/25から1/5まで連勤しました(そしてその分1月に代休もらいました)。
それが今年は、ようやく任せられるスタッフが増えたため本日はお休みです☆
そういうわけで、今お正月のすばらしさをかみしめているのですが、振り返ってみると年末年始のこのお休み期間はなかなかにハードでした。
しかし、動物病院側はもちろんですが、飼い主さんはもっと大変です。
本当なら飲んで食べて遊んで・・・のお休みに、大切なペットが死ぬか生きるかみたいな大ごとにもなりかねないわけですから。
そこで、そんな飼い主さんを少しでも減らしたい!(そして全国の動物病院の大変さを減らしたい!)目的で、獣医師歴15年の経験に基づく、年末年始のペットの急患ランキングを考えてみました。
個人の経験に基づくものなのでかなり偏りがあると思いきや、友人の獣医師にきいてもそんなに大きな差はないようです。
楽しいお休みを過ごすため、愛犬愛猫家のみなさんの参考になれば幸いです。
年末年始急患ランク1位:誤食
親戚やら友人やら、とにかくいつもはいない人が大勢訪れる時です。
- お酒が入っていい気分の酔っ払いが焼き鳥を串ごとあげる
- 子供がチョコレートをまるまる一枚あげちゃう
- 親戚のおばあちゃんの薬を置いといたら犬が飲んじゃった
などが多いパターンです。
この中でもっとも危険なのは、実は3番目の人薬を誤食した場合です。
とくにチワワやパピヨンなどの小型犬にとっては体重が20倍以上の量を一度に摂取しているので、安全性の高いような薬であっても注意が必要です。
一般的な病院で処方される薬であれば調べられるのですが、よくわからない漢方薬やサプリメント?だとそもそもが何を飲んだかがわからず困ってしまうこともあります。
まだ2年目くらいのときに、「命の母」を一ビン飲んだ!と言われたのですが、そもそも命の母を知らなかったので微妙な反応をしてしまったところ、
「もうだめ・・・」
という反応と勘違いされ、その場で飼い主さんが泣き崩れてしまったことがありました(そのこは結局体調を崩すこともなく元気でした)。
年末年始急患ランク2位:下痢吐き気
誤食でなくても、いろいろとおいしいものをもらいすぎたり、ごちそうを食べ過ぎたりすることでお腹を壊してしまうことはよくあります。
また、犬連れで旅行に来た方がその途中で愛犬が体調を崩して駆け込んでくることもあります。
人と同様わんちゃんもいろいろで、おでかけが大好きなこもいれば、ひたすらトイレを我慢し体調を崩すこもいます。
あまり車が得意でないこは、あらかじめかかりつけの獣医さんで酔い止めや下痢止めをもらっておくことをおすすめします。
また、日常的に飲んでいる薬がある場合には、内容を記録したものを携帯していただくと大変助かります。
「心臓のくすりと肝臓の薬とてんかんの薬をのんでます、全部粉にしてもらってます、この白いのです。」
とか言われても、何が何だかさっぱりわからず、飲み合わせで異常が出にくい無難なお薬しか出せません。
年末年始急患ランク3位:足の痛み
普段は忙しいご家族がお家にいるので、わんちゃんもねこちゃんもテンションが上がり気味で、ついつい興奮しすぎて転ぶ、滑る、落ちる、で足をつかなくなった!というのがこちらです。
また、いつもより多い人の周りをうろうろして踏まれたり、つまづかれたりというパターンもあります。
お酒が進む場では、とくに小型犬は注意が必要です。
いままでで一番衝撃だったのは、ポメラニアンの上にゲーム機を落として足の指の骨が折れた、でしょうか。
緊急手術がすぐできない場合もありますので、固定して痛み止めを飲むしかないこともあります。
くれぐれもお気を付けください。
年末年始急患ランク4位:尿トラブル
これはどちらかというと猫ちゃんに多いのですが、人がたくさん訪ねてきたりするとずっと押し入れに隠れていたりしてトイレや水を我慢してしまいます。
それが続くことで、ストレスによる膀胱炎や、尿石症を発症してしまうことがあります。
いつもならすぐ気が付く飼い主さんもいろいろと忙しく、気づけば
「あれ、昨日からトイレしない?!」
と大変なことになってしまう可能性があります。
ごはんは少々食べない日が続いて大丈夫、ですが水は我慢するとさまざまな健康障害のもとになります。
またきれいで落ち着いたトイレはねこちゃんに必須です。
どんなに忙しくても、トイレチェックは忘れずお願いいたします。
年末年始急患ランク5位:帝王切開
これは一般の方にはほとんど関係ないのですが。
ブリーダーさんもお正月は落ち着いて過ごしたいので、この時期に当たらないよう考えて交配されていることがほとんどなんですが、それでもなぜだか毎年ありました・・・。
大晦日のこともありましたし、新年早々のこともありました。どちらにせよかわいいベビーが誕生すればいいのですが、早すぎて残念な結果になってしまうこともありました。
「あー、今年はだめだわ」
と気落ちされるブリーダーさんを励ますこともできず
「気を付けてかえってくださいね」
と送り出すことしかできない自分が情けなかったりもしました。
まとめ
あまり一般的ではないランキングですし、完全に独断と偏見も入ってます。
しかし、⇧のようなことは飼い主さんのほんとにちょっとした注意で防げることばかりです。
どうぞ、ペットのため、飼い主さんご自身のため、そして動物病院のため普段同様注意を怠らず、楽しいお休みをお過ごしくださいね。