もうすぐ7月、フィラリアシーズンも終盤に近づきやや落ち着いて、歩いて診察ができるようになってきたオオハシオニコです(いままでは小走ってた)。
さて、最近増えてきたのが
犬はフィラリア検査といっしょに健康診断
猫もフィラリア予防といっしょに健康診断
です。
最近の傾向として、犬も猫も飼育頭数自体は増えなくなってきているので、少数頭のペットを大事に手をかけて飼うことが主流となっています。
いくら獣医療が発展しているといっても、がっつり病気になってからでは
となりかねないため、やはり予防は大事です。
そういうわけで、大きなところも小さなところも、ほとんどの動物病院が予防獣医療に力を入れ始めています。
多いのは
フィラリア検査+血液検査(生化学検査と血球検査、ホルモン検査など)
少し丁寧になると
フィラリア検査+血液検査(生化学検査と血球検査、ホルモン検査など)+レントゲン検査
さらに丁寧になると
フィラリア検査+血液検査(生化学検査と血球検査、ホルモン検査など)+レントゲン検査+エコー検査+心電図や眼科やら・・・
人の健診がそうであるように、検査項目が増えれば増えるほど、時間はかかりますし、動物の検査を受ける際のストレスも増えてきます。
また「なぜこんなことをしているのか」理解が難しい動物なので、そのこのキャラクターによって受け入れられる検査が変わってきます(鎮静が必要など)。
そのため、「健診をどうせ受けるならすべてが知りたい!」気持ちもよくわかりますが、そこで得られる結果とそのために必要な代償を考え、検査を絞る検討が必要になることもあります。
それを伝えるとがっかりされたり、不機嫌になられる飼い主さんもいらっしゃいますが、大事なのは受けることはもちろんのこと、その結果をどうするか、です。
よく、受けるまでは超熱心、ずいぶん前から予約され、当日に向け体調を整え、時間もきちんと守ってあらわれる、動物病院にとってもとても助かる、いい飼い主さんがいらっしゃいます。
しかし残念なことに、受けると受けっぱなし、結果についてはあまり熱心でない方が多いのです。
せっかく動物のストレス、飼い主さんの負担をかけて受けた健診です、有効活用することをおすすめします。
健診結果を有効活用するポイント3つ
検査数値の経年変化をチェック
健診結果が届いたら、過去のデータと比較しましょう。
検査数値が正常範囲内でも、数年の変化を確認して、数値が徐々に悪化していないかチェックしましょう
リスクの重複をチェック
検査項目ひとつずつを見るだけでなく、全体を見直して肥満・高血圧・脂質異常・高血糖などのリスクが重複していないかチェックしておくとよいでしょう
健康状態の気になることを相談
健診では、獣医師や看護師による問診も行われます。場合によっては、問診票に書くスペースがあるところもあるかもしれません。
体の不調や気になる症状などがあったら問診の際に遠慮せず相談しましょう。
健診結果を見てあわてない
どんなに健康に気を使っていても、病期や異常が見つかることはあります。
再検査や治療の必要性が生じた場合もあわてず、獣医師の診断や納得できない場合はセカンドオピニオンで他の獣医師や動物病院などで、専門家としての意見をしっかりききましょう(間違ってもネットで相談して不安を増幅するようなことは避けましょう)
早期発見のメリットは大きい!
早期発見で小さな異常の時に対処するほうが、対処法も多く、からだや経済的な負担が少ないのはいうまでもありません。
そしていちばんは
「あのとき健診をうけていれば・・・」
といった後悔もなくなります。
最近の健診を受けてよかった!実例
心臓病発見!のシーズー
暑いとはあはあよく息が荒くなります、鼻がつぶれてると大変ですよね~とのんびり来院された飼い主さん。
お話ししていると、咳はほとんどないから心臓は元気とお散歩仲間からはいわれているようです。
しかし心雑音があるばかりか、肺の異常音あったためレントゲンを撮らせてもらい、肺に水が溜まってきていることがわかりました。
幸いにも、利尿剤や血圧降下剤などで状態は改善しました。
糖尿病と甲状腺機能更新症発見!のチンチラ
水をよく飲み、わあわあ騒ぐという高齢の猫チンチラちゃん。
糖尿病であることはすぐに考えられましたが、それだけではなく甲状腺ホルモンも異常がありました。
飼い主さんは、腎臓のことは悪くなりやすいとききとても気にしてらっしゃいましたが、残念ながらホルモン分泌異常のほうになってしまいました。
ただ、ホルモンは内科療法がかなり効果が出るので、今後も経過をこまめにみていくことで長生きをめざすことは可能です。
健康で幸せな動物の一生のために
健診は生活習慣病をはじめとする、さまざまな病気の早期発見・早期治療はもちろんのこと、病期そのものを予防することが目的のひとつです。
せっかくの機会なので、年に一度(できれば2度)は検診を受け、愛するペットの健康状態を確認し、生活習慣を見直すキカッケにしてください。
本日は以上です。