オオハシオニコです。
犬派、猫派と言われたりもしますが、そもそも犬も猫も飼っておられる方もけっこういらっしゃいます。
昔より小型犬が増え、猫も室内飼いがほとんどなので、犬と猫の距離感もぐっと近くなっていますね。
そういう飼い主さんにたまに言われるのが
「うちの猫、犬の缶づめが大好きなんです。あげても大丈夫でしょうか?」
もしくはその逆、犬が猫缶ばかり食べてしまうのですが大丈夫でしょうか
です。
だめですねーって言っても、お部屋をわけられない!とかなんとか言うのでは?とも思いますが、とりあえず結論としては
「どうぞ。ただ長期間主食にするならご相談ください」
です。
犬が猫の、猫が犬のフードを食べ続けると栄養バランス崩れます
よくいわれるように
犬 → 肉食に近い雑食
猫 → 雑食に近い肉食
はだいたいその通りです。
そのため、必要な栄養素が少しずつ違います。
そのためお互いに反対のものをずーっと食べていると、少しずつ栄養バランスがくずれ、いろいろと不具合がでてきます。
同じ体重であっても必要なカロリーが異なる
同じ3kgの犬と猫であった場合、基礎代謝量はほぼ変わりません。
しかし、お散歩や人と関わる機会の多い犬に比べ、自分次第で動くことも寝てばかりいることもできる猫の場合、一日の必要カロリーは低くなります。
簡単な計算で比べると3kgの大人の犬と猫の場合
犬:223キロカロリー
猫:160キロカロリー
一日約60キロカロリーの違いがあります。
猫の場合体重が1kg違っても基礎代謝量は50キロカロリーも変わりません。
つまり猫にとっての毎日の余計な60キロカロリーは、けっこう大きな余計なぶんなのです。
食べ続けるほどに自分のごはんを食べなくなります(特にキャットフードをたべる小型犬)
犬は基本的には食いしん坊な動物です。
目の前にごはんがあれば、なるべく早く飲み込める大きさにまでして、急いで丸呑みします。
それにくらべ、猫は食事に対して好き嫌いがとても激しい動物です。嫌いな食事は、お腹がどんなに減っていても食べないことがよくあります。
またそのイメージが強く定着しています。
そこでペットフードメーカーは、キャットフードのおいしさ、嗜好性を高めることに努力し、さまざまな味付けの異なる製品が開発、研究が進められました。
最近ではドッグフードも様々な味がありますが、それは犬が食べてくれないからではなく、最近のアレルギーを警戒した新奇タンパク質をつかったドッグフード(ラムとか鹿肉とか)や、犬は猫よりも体格差があるためフードの食べやすさや消化のしやすさを考慮したためです。
キャットフードの微妙な味の種類は、次々と新しいものが出回っています。
味だけでなく、食感や香り、形や大きさなどあらゆる工夫が小さな猫に対して行われているのです。
つまり、ざっくりいうとキャットフードのほうがドッグフードよりも「食べやすくおいしい」です。
何でも食べてしまう犬と比べて、猫はなかなか食べてくれないので、より美味しくできているのはドッグフードよりキャットフードなのです。
キャットフードを食べ続けていれば、犬と言えどもドッグフードを好まなくなることはでてきます。
特にチワワやパピヨンなどの小型犬は、食べやすいキャットフードしか食べないこがしばしばいます。
食べ続けると栄養成分が不足し病気になります
そんなおおげさな?!と思われるかもしれませんが、そうなのです。
キャットフードはドッグフードに比べ「高タンパク・高脂肪・タウリンやビタミンAを多く含む」のが特徴です。
猫はタウリンやビタミンAを体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。
したがってタウリンやビタミンAが必要十分に含まれていないドッグフードを猫に与え続けることはおすすめできません。
そもそもなぜ猫にタウリンが必要かわかったのでしょう?
1980年台に、猫がタウリンが欠乏することによって心筋症、中心性網膜萎縮、免疫機能不全、成長遅延、繁殖機能低下(出生率の低下や先天的な異常など)が認められると報告した研究がありました(Sturman 1985, 1986)。
そのため、ペットフードメーカでも研究が進み、ペットフードの基準AAFCOなんかも見直されることになったのです。
近年では、てんかん発作を起こす猫にはタウリンばんばんあげると発作が起こりにくい(Tanizasa 1986)、とか犬の心筋症にも効果がある(Dukes-McEwan 2001)(Satoh & Sperelakis 1998)とか、まうますその効果が期待されているのがタウリンです。
身近なところでは栄養ドリンクとかに入ってますね。
とりすぎることによる過剰症はまだわかっていません。
多く含まれるのは心臓、腎臓、肝臓などですが手作りにそればっかり取り入れるとおそらくは他のミネラル(リンとか)が過剰になるのでやめておいたほうが無難です。
気になるならサプリメントからにしておきましょう。
本日は以上です。