梅雨の合間の晴れ間に、待合室の窓掃除(けっこうガラスが大きい)を片付け、何となくhはればれしていますオオハシオニコです。
さて、そんな梅雨の晴れ間、気がつけば日がサンサン…そう、日焼けのシーズンです。
道を行き交う飼い主さんが、腕カバーにサンバイザーにサングラスにストール・・・で完全防備しているのは変わらずですが、最近はみなさんの意識がより高くなっているようで、先日来院されたウィペット(大きめのイタリアングレーハウンドみたいな)ちゃんの飼い主さんからきかれたのは
犬や猫も日焼けするの?
はい、結論からいいますと、犬も猫も日焼けします。
披毛の多い少ないはあるにしろ、皮膚の構造は変わらないわけですから、考えてみれば当たり前のことですね。
日焼けは肌の老化や荒れ、シミの原因になるところも、もちろん同じです。
日焼けは予防したほうがいいの?
多すぎる紫外線は基本的にはやはり皮膚には有害です。
毎日長時間お散歩にいく、皮膚がうすめのわんちゃんはとくに、日焼けについて何か対策をすることをおすすめします。
どうやって予防したらいいの?
着て防ぐ
色
日傘などで有名ですが、色によって光の吸収具合が異なるため、黒が最も紫外線予防効果が高く白に近づくにつれて弱くなります
※みなさんがお持ちの服の中では、濃い色のデニムが最も予防効果が高く、普通のストッキングの8000倍近い予防効果があるそうです。
UV加工
いわゆる「UVカット」のカーディガンやパーカーなどです。紫外線吸収剤や散乱剤を練り混んだ繊維や塗布したもので作られています。
※衣類の予防効果を表す指標UPF(UV protection Factor)は、何もつけない状態と同じ程度の日焼けを起こすまでに、何倍の時間がかかるかを示しています。
犬や猫の洋服、最近はデザインだけでなく機能も優れているものが多いですね。しかしそういった、UV加工されているようなものはお値段が高かったり、通気性に問題があって熱中症が心配になるものだったり、なかなか手軽に買えるものではありません。
とりあえずいつも私がおすすめしているのは、人用のUV加工のTシャツ、です。愛犬の胸囲に合わせたTシャツを、ウエストにあわせて裾を結んでしまえばいいだけです。
器用なかたは、もちろん切ったり塗ったりゴム入れたり、いろいろ加工してあげてくださいね。
真夏はこれを着せて、上から水をかけてあげれば気化熱で涼しく、熱中症対策にもなりますよ。
塗って防ぐ
散乱剤
酸化チタン、酸化亜鉛が代表です。
細かい金属を皮膚の表面に伸ばして反射することで日焼け止め効果を発揮します。アレルギーや刺激症状を起こしにくいメリットがありますが、落ちやすいため、こまめな塗り直しが必要です。
吸収剤
紫外線を吸収して熱エネルギーに変えて放出することで、日焼け止め効果を発揮します。
化学物質であるため加工しやすく落ちにくいのがメリットですが、熱による刺激や化学物質による刺激・アレルギーを起こしやすいデメリットがあります。一定時間紫外線を吸収すると熱エネルギーとして放出するまでは次の紫外線を吸収できないため、日差しを避けて回復することが必要です。それが難しい場合は散乱剤同様、こまめな塗り直しが必要です。
市販のペット用日焼け止めは効果や内容が「?」
ここ数年さまざまなメーカーからペット用の日焼け止めが販売されているようですが、どうも内容をよむと購入する気になれないというのが本音です。
理由1.オーガニックすぎて「?」
よくあるのが、日焼け止め効果のあるニームオイルを使ったスプレー。
ニームはインドセンダン(Azadirachta Indica)ともいわれる、古くからあるハーブです。効果は、よく犬用のシャンプーなどで使われるティーツリーと似ているようで、抗菌性抗ウイルス性抗真菌剤防腐剤つまりはなんでも効く?そうです。化粧品、石鹸、練り歯磨き(歯肉炎を引き起こすバクテリアを殺す)およびヘアケア(ふけを取り除く)に使われます。またその特性を用いて湿疹、水虫、水痘などの皮膚病、にきびなどのナチュラル系の治療として使われれることもあるようです。
そしてなんと!日焼け止め効果もあるそうな…。原理はよくわかりませんが、アーユルベーダでは、日焼けは自然の法則なのでわざわざ「止める」ことはしないようなのですが、このオイルは、日焼け止めというよりは、日焼けを一種の「火傷」と考え、ニームのような皮膚に良いとされる植物を調合しているようです。というわけなので、それだったらティーツリーとかでもいいのかな?と思ってしまいます。
何よりこちらのニームオイル、もともとのオイルは匂いがニラ…。人でもちょっとつらいのに、匂いに敏感な犬の鼻に塗るのはなかなかつらいものでしょう。そしてそれが緩和されている商品なのであれば、そのニームの濃度はあまり期待できないのでは?と考えます。
理由2.紫外線吸収剤に「?」
人でも避けられるようになっている、紫外線吸収材。犬猫ではなめて口に入ることも考えられます。
体表面積は、人の子どもよりも小さい犬も多いので、がっつり使うと用量オーバーになりそうです。そもそも吸収剤は、もともとが化学物質であるため加工しやすく、「白くなりにくい」とか「すーっと水みたい」になるのが売りなわけですが、犬や猫は自分の外観を気にしたり、塗る手間は飼い主さん任せなわけなので、わざわざこれを選ぶ必要性は見当たりません。
理由3.中身が書いてなくて「?」
輸入品は、思わず買いたくなるステキなところだけのっていて、都合の悪そうなところは省いているものもチラホラあります。もしかしたら実際購入してよくよく見るとちいさーく書いてあるのかもしれません…が、まず買わないので不明です。
塗って防ぐおすすめ
椿油
椿油は、UVBによる日焼けを防止する効果があります。
ただし、化学の粋を集めた通常の日焼け止め製品ほど紫外線を吸収する力は大きくありませんので、生活紫外線による日焼け防止としてお使いください。
もともと自分は他の目的で使おうとした時に知ったのですが、椿油にはこのような軽い日焼け止め効果が期待できるようです(メーカーHPより)。
あまり匂いもありませんし、手軽に国産製品が手に入るので、日焼け止め成分が気になるけどあまり手をかけられない…というかたにはたまにご紹介しています。
ベビー用の低刺激がおすすめ
日焼けといえば・・・思い浮かべるオーストラリア。
その首都シドニー帰りの獣医師が知り合いにいるのですが、日焼け止めはやはりペットにも塗るそうです。美観的な問題というより、もうがっつり皮膚がんを防ぐレベルの問題なので、しっかりとした製品を使う必要があるそうです。
自分の手や口周りをなめる可能性は十分にあるベビーちゃんたち。そのベビー用ということでれば、なるほど転用可能かもしれません。
手作りがおすすめ
これまた知り合いに、犬の手作り石鹸を作っている人がいるのですが、そのひとから日焼け止めも簡単にできるとききました。しかし、その「簡単」がすくなくとも私にとってはあまり簡単ではなく、飼い主さんに教えることもできないでいたのですが。
今回調べてみたら意外と簡単に作っている方もいらっしゃいました。
オーストラリアでは欠かせない365日大活躍の手作り日焼け止めクリーム
つまりがオイルワックス(ミツロウ)二酸化チタンまたは酸化亜鉛を溶かして混ぜる…と日焼け止めは完成するようです。
これなら材料をそろえることができれば「簡単」でしょうか。(私がきいたのものは、他のエッセンスやらオイルも数種類ブレンドしたり、なかなか大がかりでした)
飲んで防ぐ
紫外線によりできてしまった活性酸素などの炎症起因物質を減らすことで日焼け止め効果を発揮します。
※内側から紫外線の透過を防ぐのではありません
ビタミン類
ビタミンA,C,Eなどは紫外線により生じた活性酸素を除去する効果があります
カロテノイド
リコピンやカロテンに代表される野菜の色素で、ビタミン類が除去できない毒性の強い活性酸素一重項酸素を除去することができます。トマト、スイカ、ニンジン、カボチャなどに多く含まれます。
飲む日焼け止め
活性酸素の除去機能の高い有効成分を含んだサプリメントがスペインなどのヨーロッパを中心に研究が進んでいます。
が、まだペット用は販売されていませんし、他の抗酸化剤物質同様、飲み続けて初めて意味があるもののようです。
いつもペットのごはんを手作りされている飼い主さんなら、夏野菜たっぷりのメニューも気軽につくることができるので、こういったアレンジはおすすめです。
それでもなにかしてあげたい、なんだか心配、であれば、一般的な総合サプリメントを夏バテ予防にもいかがでしょうか。」
好き嫌いがあるわんちゃんでも、まんべんなくビタミン類がカバーできますよ。
今年の夏はあまり暑くならず天気もいまいちの予想がでておりますが、日差しに油断せず、楽しいお散歩、外遊びを満喫してくださいね。