関東は台風一過、いきなり秋になりました。天候の変化に体調がついていかず、調子を崩すペットが多くなりそうで心配なオオハシオニコです。
さて、先日お話した「天気とペットのてんかん(神経症状)」についてお話ししようと思います。
そもそもてんかんとは?は今回は省いて始めます。
私が獣医師になったころより、小動物の神経疾患治療は確実に進歩しています。
てんかん発作に対する治療もそのひとつです。以前には使えなかった薬が使えるようになったり、新しい組み合わせや投与方法が考えられたり。
と思ったりもします。
そんなてんかんですが、以前から「天気が悪くなると発作管理も悪くなる(発作が起きやすくなる)」というのは都市伝説?というか経験談としてまことしやかに語られていました。私自身も飼い主さんに
くらいにはお話ししていました。
最近でた北欧の国、フィンランドの論文はこの都市伝説?を一部解明してくれました。
研究はヘルシンキ大学で2016年から2017年の間に50匹の犬を対象におこなわれたものです。
国際基準に基づいて特発性てんかんの診断されたこと、過去6ヶ月間で24時間以上おいて2回の発作を起こしていることを条件に選ばれた犬の飼い主にさまざまな形でアンケートを取った内容をまとめています。
もちろん、他の病気の可能性をなくすための、臨床検査および神経学的検査では異常は検出されず、一般的な血検査(CBCおよび基本的な血清生化学)では異常は検出されませんでした。基本的には6カ月~6歳が対象ですが、それから外れている場合は脳の構造的変化の可能性を排除するために、頭部MRIを行っています。
その結果、てんかん発作の原因として考えられる
- 自宅への訪問者(30%) ヒトが来ると吠えまくる犬は確かに多いですね
- 生活環境の変化(27%) 引っ越しは動物にとっては大きなストレスです
- 睡眠リズムの変化(24%) 夜更かしや夜中にたたき起こされるのは動物にも迷惑です
- 知らない場所(24%) 旅行が必ずしも動物にとって楽しいものにはならないかもしれません
- 天候(24%) これですね
だそうです。
アメリカやアジアと異なり、ヨーロッパとくに北欧では動物の不妊手術はあまり好まれません。この研究でも約1/2が未避妊未去勢の犬でしたが、その中では発作の原因第一位は、発情期でした。
この論文の通りにして発作のコントロールに励むとすると、まずは避妊去勢手術を行い、ストレス緩和として①~④をなるべく避け、逃れようのない⑤つまり天気が悪化しやすい台風などのときは動物をなるべく一人にしない、ということと考えられます。
ちなみにこの次に続く発作原因は「抗てんかん薬の飲ませ忘れ」でした。
薬漬けになるのはだれでもできれば避けたい、いやなものです。
投薬するものは正確に与え、なるべく原因を取り除くことがてんかんと上手にお付き合いするこつではないでしょうか。
本日は以上です。