9月も終わりですが暑さで毎日が続いていますね、外でお散歩している犬もちょっと暑そうだなと心配になります獣医師のオオハシオニコです。
さて先日のことですが、友人が骨折してしまいました。
なんでも夜段差を踏み外してよろけたところ、足首をパキッと折ってしまったそうです・・・仕方がないことなのですが、その友人は冬に旅行の予定があるので「どうしてもそれまで直したい!」ということで、なぜだか獣医師の私に(整形の専門病院の副院長ではありますが)「骨折ってどうやったら早く治る?」と聞いてきました。
大大大前提として、人と犬は骨の構造はおそらくそんなには違わない?!と言う考えのもと(もし大きくちがっていたら教えてください)、普段骨折をしてしまったワンちゃんや猫ちゃんについて飼い主様にどのようなことをお話ししているかまとめてみました。
友人がこれを守ってくれるかどうかは不明ですが、少なくともこれを守らないとおそらく早期治癒は難しいと思われます。
人は犬と違って基本手作り食だですので、手作り食派の飼い主さんで運悪くペットが骨折してしまった場合のご参考になるかもしれません。
骨折とは?
骨折とは骨が何らかの障害を受けて本来あるべき姿が破壊されてしまっている状態のことです。つまり本来あるべき正しい位置にギブスやピンやボルトなどの外固定を使って戻してあげても、添え木を当ててギプスで固定してあげても、骨そのものが修復されなければ骨折治癒とはならないわけです(当たり前ですみません)。
この骨折の状態を治癒する力はもちろん誰にでも備わっております。そのためいつかは治るものですが、それを早く治したい!ということであれば
- その材料であるものを補ってあげる
- 治そうとする力を応援する
ことで幾分治るスピードや状態が良くなる可能性はあります。
あるデータによるとサプリメントで骨の形成に必要な成分を過不足なく補うと、その治癒スピードは最大三倍にもなるそうです。まぁ少しでも早く治るなら・・・という気持ちで早期治癒を目指してみることをおすすめします。
栄養面で早く治す
骨の構造をとても簡単に説明しますとイメージはヘチマです。繊維で出来た細い部屋の中に骨の成分が入りそれが骨を作っているといるのです。
(sports.119 より)
この繊維に当たるのがコラーゲンであり、骨の成分がカルシウムです。
またそのカルシウムをその部屋の中にはめ込んでくれるのがコンドロイチンです。
(sports.119 より)
そのため
- カルシウム
- コラーゲン
- コンドロイチン
の中の一つだけ多く取ったとしてもそれは十分にその力を発揮できない可能性があります(さらにいうと、その他のビタミンやミネラルにも必要なものはたくさんありますが、とりあえずわかりやすく説明します)。
骨といえばカルシウムのイメージで一生懸命カルシウム製剤を取ることも多いと思います。それはカルシウムが不足している人にとっては決して間違いではないのですが、過剰にカルシウムを取ったとしてもコラーゲンやコンドロイチンが不足していれば残念ながら骨折治癒の役には立たないかもしれません。つまり少し多くカルシウムを取るのであれば少し多くコンドロイチンやコラーゲンもとってあげないといけないわけですね。
残念ながら私は獣医師なので人のサプリメントのことはよくわかりませんが、ペットにはこのような総合的ものを使っています。
ペットのサプリメントのポイントは「与えやすい」ことです。
どんなにいいものであったとしても食べなければ全く意味がありません。与えやすく続けやすくするため、1錠で多くの効果が期待できる複合サプリメントが一番です。
関節ケアに特化した食事もありますね。
運動面で早く治す
二足歩行の人の場合、特に下半身を骨折した場合、運動すること自体困難になります。しかしできるだけ有酸素運動をして血行を良くし、患部に適度な刺激を与えることで回復も早くなります。
昔は骨折といえば足を吊り上げてベッドに寝かせられっぱなしでした。
しかし今は炎症が治まっている限りはオススメなのが、10分程度の散歩です。
松葉杖で散歩するのは結構疲れますし、軽いランニングと同じくらい汗をかきます。そして日光に当たることでビタミンDが生成され、骨折の回復にはよい影響をもたらします。
ペットの場合飼い主さんの心がけ次第で適度な運動をすることはもちろん可能です。
愛するペットがギブスや包帯などをつけられていれば、あまりに痛そうでかわいそうで、どこかに移動するときも全て抱っこしてあげたくなるのは当然かもしれません。
しかし骨折後2週間も経ち炎症が治っていれば、ギプスで固定されていない場所は軽いマッサージなどをして適度に動かしましょう(もちろん骨折箇所に痛みが出るような、ペットが痛がるよう動かし方はしてはいけません)。
そうすることで患部の血行を良くすることができますし、程よい刺激を患部に与えることによって骨の治癒を促進させることができます。
生活面で早く治す
睡眠は成長ホルモンが分泌されるゴールデンタイムです。成長ホルモンを分泌させることによって、骨折の治癒を促進させることができます。
かといって一日中寝ていては、特にシニアのペットの場合昼夜の逆転を招きやすくなります。
決まった時間になったらちゃんと起こして朝を迎える、ある程度規則正しい生活は必要です。
また、喫煙は骨折治癒に対して大きな悪影響をもたらすことで知られています。
喫煙することによって毛細血管が収縮し、血流が悪くなり、必要な栄養素を必要な部分に運ぶことができなくなってしまいます。ペットはもちろん自分で喫煙することはありませんが飼い主さんがヘビースモーカーだった場合受動喫煙の量は相当なものかもしれません。飼い主さん、努力しなければいけないようです。
いかがでしょうか?
特に目新しいことはなく、つまりが栄養あるもの食べ、規則正しい生活で適度に動いていればよい、ということですね。
手作り食派の飼い主さんに注意していただきたいことがあります。
手作り食のかたは、薬やサプリメントを嫌い食事でケアしようと頑張ることが比較的多いです。この場合は、カルシウムやコラーゲン、コンドロイチンやリン、ビタミンCやDあたりでしょうか。
それはそれでいいのですが、調べてみるとわかるのですがコラーゲンを多くとると、どうしても脂質が多くありその分消化吸収に時間がかかります。
また、あまり動かない環境もあって確実に体重が増えてしまい、体の荷重が増えてしまいます。
リンは意識してとる必要がないくらい、むしろ年を取ると抑える必要があるくらい一般的な食材に含まれていますし、犬や猫はビタミンCやDは体内での合成が可能です。
総合的に考えると、手作り食で早く治そう!とあまり頑張りすぎないほうがいいかもしれませんね。
本日は以上です。