食材別 PR

さつまいも好きなんだけど、犬にあげて大丈夫?量は?にプロが解説

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

オオハシオニコです。

季節の変わり目は、終末期の動物にとっては大きな節目です。

ずっと安定していたコが急に調子をくずし、そのままがたがたっと状態が悪くなってしまうことはこの時期よくあります。獣医師にとっては、ちょっと心配になる時期です。

 

さて、動物が亡くなってしまう原因はいろいろとあります。

病気、事故、老齢などなど考えられますが、ざっくりいうと

  1. いきなり死んじゃうか
  2. 治療の末に死んじゃうか

の2つに分けることができます。


で②の場合、やっぱりだんだん食べなくなってきてしまいます。

そうすると飼い主さんはいろいろとそのコが食べてくれそうなものを探してくれるわけで「○○って食べさせていいですか?」とか「~にいいのは○○ってネットに書いてあったんですが」などをきいてきてくれます。


○○について語るとキリがないので、それはまたいずれ一つずつ検討ということにしてますが、最近流行ってる?のかよくきかれるのは「おイモ」「焼きイモ」つまりが「サツマイモ」です。


 18才で高齢による多臓器不全で逝ってしまったダックスフントも、16才で心不全で逝ってしまったポメラニアンも、15才で慢性腎不全の治療に毎日来られているヨークシャーテリアも、さつまいもが大好きなようです。
また最近はどこのスーパーでも入り口のところで焼き芋を売っているため、飼い主さんが比較的かんたんに用意しやすいという事情もあるようです。

 

○○だけを食べて生きていくことは全くおすすめできません、というかむしろ禁止事項ですが、今回さつまいもを犬にあげることを検討してみます。

 

さつまいもはどんな野菜?

ヒルガオ科サツマイモ属

植物の根の部分が大きくなったもので、中央アメリカが原産地。 世界中の生産の約9割がアジア(ペット先進国いわれる北米やヨーロッパでは人が食べる習慣があまりない)

ビタミンCがとれる

有名な抗酸化作用の強い水溶性ビタミンCが、さつまいもの場合はでんぷんに守られているため、蒸したり焼き芋にすると加熱しても壊れにくい

食物繊維がとれる

他の野菜に比べ食べる重量が多くなる場合が多いので、結果的に効率よく沢山の食物繊維をとることができる(特別多い野菜というわけではない、例えばブロッコリーは同じ重さであればサツマイモの約2倍の食物繊維を含む) 

緩下剤効果ヤラピン

生のサツマイモを切ると包丁や手につくことがある白い液体、この液体はヤラピンで、下剤効果があるため食物繊維と合わせて、便秘の改善効果が期待される

カリウム

同じ重量のパセリの半分くらい、野菜の中ではそこそこ多く含む・・・とはいえさつまいもは重量があるため食物繊維同様、結果的に多くとることができる、。ナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果がある。

さつまいもの栄養バランスは?

一般的なさつまいも中くらいの一本は約200g、そのうち皮やへたなどをとりのぞくと約180gになります。

 

クリックすると拡大ページで見ることができます

エネルギー:241キロカロリー、タンパク質2.2g、炭水化物57.4g、脂質0.4g

犬と人では消化率が違うので(AAFCO基準)、修正かけて(詳しくはまた書きます)、約200キロカロリー。

約3キロの高齢犬(7歳以上の小型犬は高齢ですよ!)の一日のエネルギー必要量は約220キロカロリー。 カロリーだけなら、まあまあOKなかんじですね。

では他はどうでしょう?現在のペットフードの基準となっているAAFCO2016で考えてみると・・・

タンパク質

2.2g、AAFCO基準ではDM(ドライマター、乾物量)で18.0%以上なのですが、計算すると3.6% (詳しい計算方法はまた書きます)

脂質

0.4g、AAFCO 5.5%以上のところ0.6%

炭水化物57.4gは92.7%

圧倒的に炭水化物が過剰、タンパク質と脂質が不足するようですね。

 

犬にさつまいもをあげても大丈夫?生でもいいの?

飼い主さん
飼い主さん
ペットフードの基準を満たしてないから、犬にさつまいもあげたらダメなの?!

獣医オオハシ
獣医オオハシ
いえいえ、もちろんそんなことはありません。飼い主さんだって、日本人の一日の栄養摂取基準なんて知らなくても自分でいろいろ選んで食べているでしょう?

 

食物1種類でその生物の栄養基準を満たすのはまず不可能です。

またいまの日本では一日一食の犬のほうが少ない、一日二食場合によっては三食のこともあるくらいなのでさつまいもだけの時もあれば、それ以外のものを食べるときもあっていいのです。

 

食欲が落ちているときなど何日もさつまいもしか!食べない!こともあるかもしれません。 それはたしかに栄養バランスは偏っているかもしれません、でもそれを食べてくれるのであればやはりそれを食べてもらいましょう。

栄養バランスを気にして、食欲が落ちている犬に食べたくないごはんを無理にあげようとして、ますます食欲を落としてしまう飼い主さんがたまにいらっしゃいますが、食べないよりは食べたほうがいいこともあります。

 

またあまりあげる機会はないと思いますが、生で食べてもさつまいもは毒性はありません。昔ホームステイ先で一緒だった韓国人は、さつまいもをスティックみたいに切ってぽりぽり食べていました(韓国語で「コグマ」といって、女子のダイエットの定番だそうです)。

 

ネットをさまよったあげくの飼い主さんの思い込みが愛犬の寿命を縮めていることも、残念ながらあります。 一人で悩まず、獣医師に相談してくださいね。

さつまいもをあげていい量はどのくらい?ごはんなの?おやつなの?

炭水化物多めのため、他の野菜に比べれば高カロリーです。

葉物野菜や水気の多い野菜(炒めるとカサが減りやすいもの)とは違うため、普通にごはんを食べているうえにどんどんあげれば当然太ります。

目安としては、焼き芋1/10本で約30kcalです。

 

さつまいもをあげるときの注意点は?皮は?アレルギーは?

さつまいもの主成分は、炭水化物であるでんぷんです。焼き芋など加熱することで、甘みが増します。また、ビタミンCや、食物繊維やカリウム、他にもマグネシウム、銅などのミネラル分もたっぷり含まれているため、だいたいの犬にむしろおすすめの食材です。

さつまいもの皮、歯触りが悪いしごわごわしてるし、あくが強そう・・・とほとんどのかたが捨てられているようです。

しかし、じつは皮にしか含まれない栄養素もあるのです。

それは、アントシアニンとクロロゲン酸、どちらもポリフェノールの一種です。 どちらも強力な抗酸化作用の働きで、アンチエイジングに効果があります。 紫色の色素であるアントシアニンは、主に視力の改善、クロロゲン酸には、脂肪の蓄積を抑える効果が認められています。 またカルシウム、ビタミンC、食物繊維、ミネラル、ビタミンB1、B6、Eは皮にも多く含まれます。

すべて捨てずに、部分的にむいてあげると栄養素が多くとれるようです。

また、さつまいもアレルギー、もちろん存在すると思います。

しかし、国内および海外の大手アレルギー検査会社(動物アレルギー検査株式会社スペクトラムジャパン)の検査項目にさつまいもが含まれていないことから、対象にするほど多く報告されいないことが想像できます。

さついもに限らないことですが、はじめての食材をあげる時はやはり少量から試してみることをおすすめします。

さつまいものおすすめレシピはありますか?

犬の手作りごはんレシピは専門の方がたくさんいらっしゃるので、どうぞそちらをご参照ください。私の所属するAPNAも優れたレシピを多く紹介しています。

 

見た目を気にしない、インスタ映えまったくしなくても構わないようでしたら、いつも私が飼い主さんに進めているのはこちら。

さつまいもときなこのミルク煮(3キロくらいのシニア小型犬の一日量)

  • さつまいも1/2本
  • きなこ大さじ2
  • バター大さじ1
  • 牛乳大さじ2
  • 豆乳大さじ2
  • はちみつ少々
  1. さつまいもを薄切りにして、レンジでチンして少し柔らかくする
  2. バターで①のさつまいもときなこを香りが出るまで炒める
  3. 牛乳と豆乳を加えて柔らかくなるまで煮る
  4. 甘みが足りなければはちみつを加える

だいたいこれで人の栄養バランスはとれます。

犬にはややタンパク質が足りないかもですが、それはまた別で補えばいいことですし(卵とか)、腎不全の犬ではタンパク質は制限されることもあるのでこのくらいでもいいようです。

 

焼き芋に限らず、野菜の好きなわんちゃんは意外と多いです。

獣医オオハシ
獣医オオハシ
おいしく楽しく、最後まで食を楽しめる毎日を送れるといいですね

こちらもおすすめです
食材別

犬にマンゴーあげてアレルギーとか大丈夫?

2019年6月2日
ペットのごはん☆オオハシオニコ
オオハシオニコです。 マンゴーはお好きですか? 独特の香りと味、猫で好きという子はまだ見たことがありませんが、犬は大好きなこが多いです。 そこで気になってくるのか、たまにきか …
食材別

プロが解説)犬にブルーベリーあげて大丈夫? 

2019年7月16日
ペットのごはん☆オオハシオニコ
三連休雨続きですね…待合室におさまりきれず外で待ってくれている飼い主さんに申し訳なく思い仕事に熱が入るオオハシオニコです。 さて、そんな天気にも関わらず、トイプードルのメグちゃん …