オオハシオニコです。
梅雨入りしたので空くかと思いきや、低気圧の影響なのかてんかん発作やらどこかの痛みやら、神経疾患に追われています。
さて、そんななか一息つける昼休み、休憩室に見慣れないクッキーがあり、何も考えず手を伸ばしかけたところ
「それダイエットクッキーですよー」
とスタッフに言われました。
小麦粉のかわりにおから100%みたいです。
試しに食べてみると、思わずむせかける口の乾き具合!口の中が砂漠…?
しかし、カロリーは1/3でタンパク質と食物繊維はアップしているので、ネットでも人気だそうです。
そういえば、先日老犬で立てなくなってしまったポメちゃんの飼い主さんから
ときかれました。
というわけで食材シリーズです。
みなさんおからよく食べられますか?
猫で食べてるという子はあまり見たことがありませんが、犬ではたまにいるようです。
の返事は結論から言うと
何度も何度もしつこいですが、普通の犬と大豆(おからは大豆の絞りかす)アレルギーの犬は、まったく別です。
ホタテ好きの猫のところでも言いましたように、普通の人(食べ物アレルギーのない人)と卵アレルギーの人に、「オムレツ食べても大丈夫ですか?」ときくのと同じくらい次元が違います。
したがって
- 普通の犬におからをあげる場合
- 花粉および食物アレルギーをもつ犬におからをあげる場合
順番に解説します。
自分の愛犬がアレルギーを持っているかわからなくて心配な場合は、アレルギーかもしれない?くらいな気持ちで慎重に にチャレンジしてほしいので②を読んでください。
- 犬におからをあげるときは生?そのまま?量は?
- 犬のおからのケーキやクッキーのレシピは?さつまいもとかかぼちゃを入れてもいいの?
- 犬におからをあげたら下痢をした
- 犬におからはダイエットになるの?
そもそもおからって?
おからは日本人の伝統的な健康食
御存知の通り、おからは豆腐を作る時にできる副産物です。
豆腐はざっくり大豆を煮たものをしぼって作り、このしぼったあとに残るしぼりかすがおからになります。
「しぼりかす」というわりにはおからには食物繊維をはじめ、からだによいとされる栄養がたくさん含まれています。
そのため、日本では古くから健康食として食べられています(江戸時代にはすでに卯の花が一般的メニューだったようです)。
大豆のいわゆる体によい成分
食物繊維
おからには食物繊維が豊富に含まれています。
ひとつのデータとしては100gあたりの食物繊維総量は、水分を含んだ生おからで11.5g、乾燥させたおからで43.6g、半部弱が食物繊維となっています。
シニアになるとどうしてもたまりやすい胆泥対策や肥満がちなペットのため取り入れたい食物繊維の身近な食材として、繊維豊富なおからは摂取不足を解消することが期待できるのです。
ビタミン類
おからには、ビタミンB1、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB2、ビタミンB6などの多くのビタミンが含まれています(中でもビタミンKとビタミンB1は豊富に含まれています。)
骨や神経の病気になったことのある動物には、とくに多くとりたい必要なビタミンです。
たんぱく質
おからは大豆の「しぼりかす」ではありますが、大豆自体にたんぱく質が多く含まれているため、たんぱく質も豊富に含まれています。
動物性ばかりでなく植物性のタンパク質を取り入れたい飼い主さんには、おからを無視することはできないですね。
犬にはどんなおからをあげればいい?
おからは先述したとおり、豆腐を製造する過程でできる搾りかすです。
日本だけでなく、豆腐文化のある中国、韓国など、東アジアではなじみ深い食品です。
搾った後の廃棄物なので、値段はごく安価で豆腐屋さんが無料で近所の人に分けたり、捨てたりすることが、昔からあったようです。
(ちなみに「おから」は絞りかすの意味で、お茶殻の「がら」と同じ「から」に「御」をつけたものです。)
少し前までは食品として需要が供給を大きく下回り、日持ちがしないため、家畜のエサにするか、脱水しておから加工物にする他は、ほとんどが廃棄されていました。
しかし数年前から、おからを使ったダイエットが手軽で効果があることが有名になり、おからパウダーの生産量は毎年増加、2017年度の食品用乾燥おからの年度別生産量は過去最高でした。
おからは主に3タイプ
1. 生おから
お豆腐屋さんの生おから
一般的におからと言われているのは生おから、つまり豆乳を絞ったしぼりかすそのものです。
大豆の風味を感じることができ、主に豆腐屋さんやスーパーの豆腐コーナーで買うことができます。ネットではレアですが…↓
お豆腐屋さんの生おから
水分を多く含むため、日持ちしないので注意が必要です。
2. 乾燥おから
日持ちがしない生おからを乾燥させて水分を抜き、日持ちするように加工した、フレーク状のものが乾燥おからです。
水やぬるま湯でもどして生おからと同じように使うことができます。
また乾燥したままでも、ハンバーグつくねに混ぜ込んで、風味づけやかさましに使うこともあるようです。
3. おからパウダー
おからパウダーは、乾燥おからの粒子をより細かくさらさらにしたものです。
製品にもよりますが、粒が小さく溶けやすくなっているため、お味噌汁やスープ、ドリンクにそのまま加えることもできます。
ただ乾燥させただけの乾燥おからよりも、粒の大きさがそろっているため、マフィンやパウンドケーキ、クッキーなどのお菓子にも使いやすくなっています。
犬用のおからを使ったレシピも、〇ックパッドなどネットで簡単に検索できます。
動物専用のおからも最近では人気ですが、一日当たりの与える目安量を確認できたのはほとんどなく、比較的多めでした。
商品特長(マルジョー&ウエフク おからパウダー ※終売)
●食物繊維・カルシウムがたっぷり!
●栄養バランスもよく嗜好性抜群!
●そのままでも、フードにかけて与えて食欲増進!
●無添加・無着色の国産品です。
[1日当たりの標準量]
超小型犬(5kg以下)・・・5~10g
小型犬(5~10kg)・・・10~20g
中型犬(10~25kg)・・・20~50g
大型犬(25~45kg以下)・・・50~70 g
上記を参考に1日2~3回に分けてお与えください。
人のおからパウダーダイエットで基本となるのが、だいたいおからパウダー大さじ3のようです。
食物繊維は、一度に大量に摂るのではなく、毎日適量をコツコツ摂り続ける習慣をつけることが、摂取不足解消にも、体を健やかに保つのにも有効です。
日本人に不足している約5g(おからパウダー大さじ約3杯)の食物繊維を補うことを意識した食生活を心がけましょう。(おからパウダー official web site より)
AAFCO基準でも食物繊維はありません。
また犬や猫は、人よりも自分の体長(体の長さ)に対する腸の長さは短めです。
商品にもよるとは思いますが、自分はもっと少なく(先述のポメちゃん体重3kgでは、一日小さじ1杯と伝えています)おすすめしています。
おからを食べると起こる大変なこと
注意しなければいけないのは、食べ過ぎ(与え過ぎ)です。
理由は主に以下の2つです。
- カロリーゼロではない
「ヘルシー」、「ダイエットにいい」とはいえ、カロリーゼロではなくしっかりカロリーはあります。
おからパウダー大さじ1杯で約20kcal、3キロの老犬の一日摂取量の約1割です。 - 犬は人より消化が苦手
おからの多くは「不溶性繊維」です。
これは犬や猫は消化するのがとても苦手なので、一度にたくさんとるとかえって胃や腸の負担となるのです。おからで下痢することがあるのは、こういった理由ですね。
普通の犬におからをあげるとき注意することは?
先述の通り食べ過ぎ(与え過ぎ)注意です。
量はかなり個体差がありそうですが、一度に不溶性繊維をとると便秘、さらに進むと胃捻転や腸閉塞を起こす可能性があります。
これは、犬は一日分の食事を一度に食べることのできる比較的大きな胃袋をもっていること、食物繊維の消化が特に苦手であることが理由です。
食べ物アレルギーをもつ(もっているかもしれない)犬におからをあげるとき注意することは?
過去にはっきりと、おからを食べたあとに吐く、震える、よだれ、口を痛がるなどの症状が出た犬に「ちょっと食べてみる?」とおからを与えるのはとても危険です。
そんな機会はないと思いますが、それでもどうしてもおからを与えてみたい場合は、必ず動物病院で相談の上与えてみてください。
万が一のときはアナフィラキシーショックの治療をしてもらう必要があります(しないと死んでしまうことがあります)。
アレルギーかもしれない、アレルギーかわからないけどあげてみたい場合行うのがいわゆる「食物負荷試験」です。
これはつまり、実際にその食べ物を食べさせてみて、動物の症状がでるかどうかを観察する方法です。
非常に原始的な手段ですが、食物アレルギーの診断でこれに勝るものはありません。
テストのやり方は様々です(基本はごく少量から始めて、15-20分毎に量を増やしながら繰り返し食べていく方法が標準的です)。
おからはアレルギーが出ることもある食品です
人では三大アレルゲンだった(今は違います)
昔は卵・牛乳と並んで湿疹を誘発しやすい「3大アレルゲン」でしたが、実は本当の大豆アレルギーはそれほど多くなく、IgE抗体陽性でも、食べられてしまうことがよくあります。
大豆を生で食べることはまずなく、加工食品である豆腐や枝豆や煮豆、きな粉などは、調理によるタンパク質変性=大豆アレルゲンの変化については未だに十分な研究がありません。
それぞれの食品について負荷試験で反応性を確認する他に、除去の範囲を正確に決める手段はいまのところありません。
花粉と交差反応を起こしやすい
人の世界ではほぼスタンダードになっている、口腔内アレルギー症候群。
最近は、健康志向で豆乳を飲む人が増えてきて、それとともに豆乳でアレルギー反応を起こす人が増えています。このうちの多くは、花粉症と関連すると考えられている口やのどの違和感などの症状であり、これが口腔内アレルギー症候群です。
ダイズは一番下、ハンノキ属です。ある特定の果物や野菜に含まれるアレルゲンは、花粉のそれとなぜだか構造がよく似ています。そのため特定の果物や野菜を食べると、花粉が侵入してきたと体が勘違いし、すでに体で作られているアレルギー反応を起こすIgE抗体と反応、アレルギー症状があらわれてしまうのです。
これが完全に犬にあてはまると言っているわけではありませんが、同じような反応は確認されています。
こちらはあるアレルギー検査会社の、アレルゲン交差反応の治療例です。
おやつの中止で皮膚炎が改善した一例:ブタクサ/シラカバ陽性例
両側の慢性外耳道炎
IgE検査結果でブタクサ・シラカバ陽性(ブタクサ 484** P、シラカバ 386** P)
おやつにキュウリとリンゴを食べていた
→ アレルギー検査の結果をふまえ、おやつを中止したら1ヵ月で治癒?!
交差反応:ブタクサ×ウリ科の食物(キュウリ・スイカ)
カバノキ×バラ科の果物(リンゴ・ナシ・モモ・ イチゴ)
( SPOT TEST より)
ここまで極端な例は少ないと思いますが、この交差反応をおこすひとつなのです。これを避けるためには、しっかり加熱されたものをつかうことがおすすめです。
結局 アレルギーだとどうなるの?
よくいわれる「食物アレルギー」も「口腔アレルギー症候群」も、「特定の食物を食べると、アレルギーを発症する」という点では同じです。
しかし一般的な食物アレルギーではじんましんや湿疹、下痢など全身に症状があらわれますが、口腔アレルギー症候群の多くは、口やのどで症状があらわれ、全身に症状があらわれることは多くありません。
この違いがでる理由は、それぞれのアレルゲンです。
食物アレルギーを引き起こすことの多い、牛乳や卵、小麦などのアレルゲンは、熱や消化酵素に強いためそのまま腸から吸収されます。
一方、口腔アレルギー症候群の原因となりやすい果物や野菜のアレルゲンは消化酵素に弱く、胃や小腸といった消化器で分解されてしまうため、口や喉の直接接触した部位だけで反応が起こります。
また、熱に不安定で加熱によっても分解されるため、新鮮で生のもの(大豆であれば無調整豆乳など)で症状が出やすく、加熱した果物や野菜では症状が出ないことも多くあります。