もろもろ雑談

猫のアレルギーってあるの?診断から治療までプロが解説

獣医もろもろ(諸々が気になる方はプロフィールをごらんください)オオハシオニコです。

 

最近特にアレルギー検査を希望される飼い主さんが増えてきたのですが、何かテレビで言ってるんでしょうか?
あまりテレビをみないのでうといのですが…先日は久しぶりに、猫ちゃんのアレルギー検査のご希望がありました。

はい、たまに驚かれるのですが
猫アレルギー
ではなく
猫ちゃんのアレルギー
ももちろんあるのです。

猫のアレルギーの有名な論文

猫における食物アレルギー性皮膚炎:48症例における後向き研究(1988–2003)
Danny W. Scott 2013

48例の猫が食物アレルギー性皮膚炎と診断された。過去15年において本症と診断された猫の頻度は皮膚疾患症例の3.4%,ならびに全疾患症例の0.2%を占めた。性差や年齢差は認められなかったが,バーミーズ,ヒマラヤン,メイン・クーンに好発する傾向があった。皮膚における反応パターンは発症頻度の高いものから順に,皮疹を伴わない左右対称性のかゆみ動作~表皮剥離(特に顔面,耳介および頸部),皮膚に異常を認めない外傷性脱毛症(特に腹部,四肢および背部),粟粒性皮膚炎(特に背部および頸部),ならびに好酸球性肉芽腫群(特に口唇)であった。皮膚における複数の反応パターンの合併は54.2%の猫に認められた。続発性細菌感染症は18.8%の猫に認められた。消化器症状が合併した猫の頻度はわずか2.1%であった。アトピー性皮膚炎が合併した猫の頻度は18.8%であった。グルココルチコイド製剤が全身投与された猫のうち,同治療が奏功しなかった猫の頻度は60.9% であった。食事管理は6ヶ月から11年の追跡調査の期間中有効であった。

簡単にまとめるポイントはこんな感じです。

・48頭の食物アレルギー性皮膚炎の猫を調べてみると、15年間ではこの病気と診断された猫は、皮膚病の3.4%だった。オスメスや年齢による差はなかったが,バーミーズ,ヒマラヤン,メイン・クーンに多いようだった。
皮疹を伴わない左右対称性のかゆみ動作が一番多くみられる症状だった
・他には表皮剥離(特に顔面,耳介および頸部),皮膚に異常を認めない外傷性脱毛症(特に腹部,四肢および背部),粟粒性皮膚炎(特に背部および頸部),ならびに好酸球性肉芽腫群(特に口唇)が見られた
・消化器症状があった猫は2.1%であった
・ステロイドの効果がうすかった猫は60.9% であった
食事管理は有効な治療であった。

 

日常的に猫のアレルギーを診ている身としては、だいたいそのとおりだけどそうかな?と思う部分もあります。

もしかしたらそれは、普段診ている猫の7割が日本猫だからかもしれません(論文はアメリカコーネル大学のものです)。

猫のアレルギーの症状

紅斑、発疹、吹き出物、かさぶた、角化、皮膚の肥厚、乾燥、粉を吹いたりうろこ状、脱毛
かゆがる、引っ掻く、よくなめる、こすりつける

つまり、人や犬と同じように猫も痒みで苦しむのです

猫のアレルギーの原因

日本で(というか世界で)唯一、猫の検査を猫の抗体でおこなっているアレルギー検査会社は、猫のアレルギー検査をとして40項目をあげています。

節足動物

ヤケヒョウヒダニ
コナヒョウヒダニ
アシブトコナダニ
ノミ

カビ

アスペルギルス
アルテリナリア
クラドスポリウム
ペニシリウム

樹木

ニホンスギ
シラカンバ
ハンノキ

キク科植物

ヨモギ
オオブタクサ
アキノキリンソウ
タンポポ
フランスギク

イネ科植物

カモガヤ
ハルガヤ
オオアワガエリ
ホソムギ
ギョウギシバ

肉系

鶏肉
卵白
卵黄
七面鳥
アヒル
牛肉
牛乳
羊肉
豚肉

魚系

カツオ
マグロ
サケ
タラ

植物系

小麦
トウモロコシ

大豆
ジャガイモ

猫のアレルギーの治療

猫のアレルギーは犬と比べまだ不透明な部分が多いのが現状です。
そのため
外部寄生虫疾患

内分泌疾患

皮膚感染症
を否定したうえで
除去食で食物アレルギーを否定しつつアレルギー検査を行うことになります。

 

アレルギー検査で検出されるIgE以外の免疫関与がまだ不透明なためこのようなことになります。

つまりが消去法で、ひとつずつ原因疾患をつぶしていくのです

 

実際アレルギーとなった場合、免疫抑制剤の投薬や二次感染予防のためのシャンプーなどで、症状をコントロールしていきます。

猫ならではのアレルギー治療の問題とは?

ずばり食事療法の難しさです。

猫はなかなか食べません!
これさえ食べれば治るのに…となっても食べないので治らないことが本当にあったりします。
そういうときに、手づくりが必要になったりするのですね。

 

顔を掻いてしまう場合は、かわいいカラーでまずはカバーすることが必要になることもあります。

 

体を掻いてしまう猫ちゃんの場合は、洋服のほうが便利かもしれません。

 

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まだまだ研究の余地が多い猫のアレルギーですので、今後の発展に期待ですね。

 

本日は以上です。

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